Ischemic preconditioningの電気生理学的効果に関する検討-虚血時における心室筋再分極相の不均一性の増大に対する改善効果

【目的】Ischemic preconditioning(IP)の抗不整脈作用に注目し, 心室筋の電気生理学的不安定性を示す指標であるQT間隔dispersion(QT d), マイクロボルトレベルのT波オルタナンス(TWA)に対するIPの効果を検討した. 【方法】有意冠動脈病変を有する虚血性心疾患例を対象に, トレッドミル運動負荷(TMET)あるいは心房ペーシング負荷を15分間隔で反復, QT dの変化およびTWAの結果を解析した. 【結果】TMETを連続3回施行すると, 1回目に比し, 2回目, 3回目のTMET時にはQT dの延長の程度がいずれも有意に減少した(p<0.001). 一方,...

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Veröffentlicht in:心電図 2000, Vol.20 (2), p.127-135
Hauptverfasser: 笠巻祐二, 小沢友紀雄, 渡辺一郎, 山田健史, 橋本賢一, 中山清和, 知久正明, 猿谷忠弘, 柳川新, 矢久保修嗣, 小牧宏一, 斉藤穎, 上松瀬勝男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】Ischemic preconditioning(IP)の抗不整脈作用に注目し, 心室筋の電気生理学的不安定性を示す指標であるQT間隔dispersion(QT d), マイクロボルトレベルのT波オルタナンス(TWA)に対するIPの効果を検討した. 【方法】有意冠動脈病変を有する虚血性心疾患例を対象に, トレッドミル運動負荷(TMET)あるいは心房ペーシング負荷を15分間隔で反復, QT dの変化およびTWAの結果を解析した. 【結果】TMETを連続3回施行すると, 1回目に比し, 2回目, 3回目のTMET時にはQT dの延長の程度がいずれも有意に減少した(p<0.001). 一方, 2回目と3回目のQT dの延長の程度は同程度であった. 心房ペーシング負荷によるTWAの検討では, TWAの陽性率およびalternans voltageは1回目に比し, 2回目には, いずれも有意に減少した(p<0.05). 【総括】IPは, 虚血時/再灌流時の不整脈発生の機能的器質となる心室筋の電気生理学的不安定性を改善した. この所見は, IPが虚血/再灌流時における致死的心室性不整脈を抑制する機序の1つを示すものであると考えられる. (心電図 20:No.2, 127~135, 2000)
ISSN:0285-1660
DOI:10.5105/jse.20.127