心筋症における不整脈と病理所見-不整脈原性右室異形成症とQT延長症候群を中心に

不整脈の発症・病態の持続には心筋構造変化を伴うとの認識が多くの理解を得つつあるが, 不整脈原性基質の解明は未だ充分ではない. 右室異形成症10剖検例の検討では, 右室障害は自由壁緻密層に強く, リエントリー回路は従来の好発三角部の脱落心筋巣周囲の自由壁だけでなく, 残存する網目状肉柱層も関与している可能性が指摘された. また, QT延長症候群自験例5例の検討ではいずれもPurkinje様細胞の増殖, 通常の心内膜下領域ではない心室筋層内での異常な部位での出現, 心筋錯綜配列などの所見が見られた. この異常細胞とM細胞との関係は今後の検討を要する. (心電図 19:No.3, 223~230,...

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Veröffentlicht in:心電図 1999, Vol.19 (3), p.223-230
1. Verfasser: 河合祥雄
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:不整脈の発症・病態の持続には心筋構造変化を伴うとの認識が多くの理解を得つつあるが, 不整脈原性基質の解明は未だ充分ではない. 右室異形成症10剖検例の検討では, 右室障害は自由壁緻密層に強く, リエントリー回路は従来の好発三角部の脱落心筋巣周囲の自由壁だけでなく, 残存する網目状肉柱層も関与している可能性が指摘された. また, QT延長症候群自験例5例の検討ではいずれもPurkinje様細胞の増殖, 通常の心内膜下領域ではない心室筋層内での異常な部位での出現, 心筋錯綜配列などの所見が見られた. この異常細胞とM細胞との関係は今後の検討を要する. (心電図 19:No.3, 223~230, 1999) 臨床的, 病理学的に障害部位が推定可能な房室ブロック1), 洞房ブロックや, 特定の基礎疾患に関連する不整脈は別にして, 不整脈の多くは特発性として理解されてきていた. 発生部位が特定できない心室頻拍の機序を心内膜心筋生検資料から論ずるのは理論的にも無理である.
ISSN:0285-1660
DOI:10.5105/jse.19.223