モルモット心室筋Na+電流に対するMS-551の作用

III群抗不整脈薬MS-551のK+チャネル特異性を確認するために, モルモット心室筋Na+チャネルに対する同薬物の作用を, 全細胞膜電位固定法を用いて検討した. MS-551は保持電位-140mVで, Na+チャネルを用量依存性に抑制し, 同条件におけるIC50は292±20μM(n=11)であった. MS-551 300μM存在下, Na+電流は頻度依存性の抑制を示さなかったが, 長時間の脱分極パルスからの回復過程は遅延し, Na+チャネルの不活性化からの回復過程に加えて, 時定数約500msecの遅い回復成分が出現した. しかしながら, 同成分の対照時のNa+電流値に対する比率は小さく,...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:心電図 1998, Vol.18 (6), p.858-866
Hauptverfasser: 鈴木和幸, 古川泰司, 中村康彦, 三寺隆之, 山川健, 半谷京子, 小山豊, 西村昌雄, 山中正己
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:III群抗不整脈薬MS-551のK+チャネル特異性を確認するために, モルモット心室筋Na+チャネルに対する同薬物の作用を, 全細胞膜電位固定法を用いて検討した. MS-551は保持電位-140mVで, Na+チャネルを用量依存性に抑制し, 同条件におけるIC50は292±20μM(n=11)であった. MS-551 300μM存在下, Na+電流は頻度依存性の抑制を示さなかったが, 長時間の脱分極パルスからの回復過程は遅延し, Na+チャネルの不活性化からの回復過程に加えて, 時定数約500msecの遅い回復成分が出現した. しかしながら, 同成分の対照時のNa+電流値に対する比率は小さく, 全電流値の約15%にとどまった. MS-551は静止状態のNa+チャネルに対してはIb群のlidocaineとほぼ同様の抑制作用を有するが, その抑制の電位依存性は小さく, 脱分極した心筋に対する作用は弱いと考えられた. したがって, 臨床的血中濃度では, 同薬物のNa+チャネルに対する作用は無視しうる程度に小さいと考えられた. (心電図18:No.6, 858~866, 1998)
ISSN:0285-1660
DOI:10.5105/jse.18.858