両側難聴児・者が学校生活で抱える問題に関する調査の検討

要旨: 先天性難聴の早期発見,早期療育, 人工内耳手術の低年齢化などに伴い, 難聴児の聴取能, 言語発達は向上し, 近年地域の学校でインクルーシブ教育を受ける者が増加しているが, それに伴う問題も挙げられている。我々は, 小学校5年生以上25歳未満のインクルーシブ教育を受けた経験のある両側難聴者89名に, 学校生活で抱える問題に関して質問紙での実態把握調査を実施した。 対象者の多くは, 授業中の支障に加え, グループ学習や雑音下, 距離が離れた場所からの聞き取りの支障を抱えており, また英語, 音楽, 体育をはじめとする教科学習での課題や, 友人関係での問題も挙げていた。難聴の程度が重いほど頻...

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Veröffentlicht in:AUDIOLOGY JAPAN 2021/02/28, Vol.64(1), pp.87-95
Hauptverfasser: 片岡, 祐子, 菅谷, 明子, 中川, 敦子, 田中, 里実, 問田, 直美, 福島, 邦博, 前田, 幸英, 假谷, 伸
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:要旨: 先天性難聴の早期発見,早期療育, 人工内耳手術の低年齢化などに伴い, 難聴児の聴取能, 言語発達は向上し, 近年地域の学校でインクルーシブ教育を受ける者が増加しているが, それに伴う問題も挙げられている。我々は, 小学校5年生以上25歳未満のインクルーシブ教育を受けた経験のある両側難聴者89名に, 学校生活で抱える問題に関して質問紙での実態把握調査を実施した。 対象者の多くは, 授業中の支障に加え, グループ学習や雑音下, 距離が離れた場所からの聞き取りの支障を抱えており, また英語, 音楽, 体育をはじめとする教科学習での課題や, 友人関係での問題も挙げていた。難聴の程度が重いほど頻度が高い傾向がみられた。 個々の学校生活における状況と問題を正確に把握した上で, 視覚情報を用いたコミュニケーション, 支援員の配属, 学習面でのサポート, 専門家による心理的負担へのアプローチといった個々に対応した介入の必要性が示唆される。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.64.87