重度聴覚障害者の聴覚活用の実態調査

乳幼児期から補聴器を装用して指導を受け, 難聴発見時の平均聴力レベルが90dB以上である重度聴覚障害者102名を対象に, 社会生活をする上で比較的聴取する機会の多い35種類の環境音の聞こえに関する実態調査を実施した。それぞれの環境音に対して「聞こえる」と「聞こえないが必要がある」という回答の分布状況を調べた。その結果, 調査を実施した聴覚障害者の「聞こえる」という回答には音の物理的側面の一つである強さが, それに対して「聞こえないが必要がある」という回答では音を聴取することの社会的意味がそれぞれ判断の主な要因になっていることがうかがえた。環境音に, 音楽の聴取や歌唱, 親しい人との音声コミュニ...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:AUDIOLOGY JAPAN 2007/06/30, Vol.50(3), pp.193-202
Hauptverfasser: 中川, 辰雄, 須藤, 正彦, 舞薗, 恭子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:乳幼児期から補聴器を装用して指導を受け, 難聴発見時の平均聴力レベルが90dB以上である重度聴覚障害者102名を対象に, 社会生活をする上で比較的聴取する機会の多い35種類の環境音の聞こえに関する実態調査を実施した。それぞれの環境音に対して「聞こえる」と「聞こえないが必要がある」という回答の分布状況を調べた。その結果, 調査を実施した聴覚障害者の「聞こえる」という回答には音の物理的側面の一つである強さが, それに対して「聞こえないが必要がある」という回答では音を聴取することの社会的意味がそれぞれ判断の主な要因になっていることがうかがえた。環境音に, 音楽の聴取や歌唱, 親しい人との音声コミュニケーション, それに音声による情報の収集に関する項目を加えて, ほとんど1日中補聴器を装用している77名の補聴器装用の実態を調べた。その結果, 補聴器は自分と親しい友人や家族との会話をすることに用いており, 音声によってもたらされる情報については補聴器を装用していてもほとんど理解することが困難な状況にあることがわかった。また, 社会生活をする上では環境音を聴取する利便性よりも危険回避が目的となっており, 個人的な生活をする上では音による情緒や風情を感じるというよりも, 約半数のものが音楽や歌を好んでいる実態が明らかになった。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.50.193