人工内耳埋込術を施行した家族性高度難聴児の1症例

2歳4ヵ月に左耳に人工内耳埋込術を施行した家族性高度難聴児1名の, 手術に至る経緯と術後の問題点について報告した。両親は, 本児が1歳6ヵ月頃から人工内耳を希望するようになった。これに対し, 医療機関・難聴通園施設は, 術後に音声言語を使用し, かかわることの重要性を伝え, 家庭での言語環境上の問題点を繰り返し説明したが, 両親の決意は変化しなかった。当科では, 地域との連携や親戚家族の援助を確認し, 家庭内では不十分であると予測される聴覚活用がその他の環境を整備することによって補えると考え, 手術適応と判断した。しかし, 術後に両親の社会経験の不足や家庭環境の変化が原因となり, 本児の聴覚活...

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Veröffentlicht in:AUDIOLOGY JAPAN 2006/08/31, Vol.49(4), pp.367-372
Hauptverfasser: 山田, 理恵, 藤原, 聖子, 宮下, 武憲, 森, 望, 越智, 啓子, 野中, 信之, 大森, 千代美
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:2歳4ヵ月に左耳に人工内耳埋込術を施行した家族性高度難聴児1名の, 手術に至る経緯と術後の問題点について報告した。両親は, 本児が1歳6ヵ月頃から人工内耳を希望するようになった。これに対し, 医療機関・難聴通園施設は, 術後に音声言語を使用し, かかわることの重要性を伝え, 家庭での言語環境上の問題点を繰り返し説明したが, 両親の決意は変化しなかった。当科では, 地域との連携や親戚家族の援助を確認し, 家庭内では不十分であると予測される聴覚活用がその他の環境を整備することによって補えると考え, 手術適応と判断した。しかし, 術後に両親の社会経験の不足や家庭環境の変化が原因となり, 本児の聴覚活用に停滞を生じた。その対策として, 通園施設や地域の保育所などが密な連携を行ったことが本児の教育環境の悪化の軽減に重要な役割を果たした。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.49.367