ノビルと間違えてタマスダレを摂取し嘔吐や下痢をきたした食中毒1件2症例の経験

「要旨」症例は60歳代男性2名. 以前から自宅近くの草むらに園芸用のタマスダレと食用のノビルが自生しており, ノビルだけを選定して食べていた. 4月30日, いつものようにノビルを選定したつもりで, 昼食として12時30分頃, 加熱調理して摂取したところ, 本来のノビルの味より苦いと感じ, 直後から嘔吐, 下痢などの症状をきたした. 採取した野草がタマスダレであることに気づき, 食材を持参して摂取後約1時間後に来院. 2名とも, 14時20分の来院時に嘔気は持続していたが, 全身状態は安定していた. 日本中毒情報センターに問い合わせ, 原因はタマスダレに含まれる植物アルカロイドのリコリン摂取に...

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Veröffentlicht in:島根医学 2024-06, Vol.44 (1), p.52-57
Hauptverfasser: 林彦多, 松岡純子, 水村恵美, 柏智恵, 谷浦博之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」症例は60歳代男性2名. 以前から自宅近くの草むらに園芸用のタマスダレと食用のノビルが自生しており, ノビルだけを選定して食べていた. 4月30日, いつものようにノビルを選定したつもりで, 昼食として12時30分頃, 加熱調理して摂取したところ, 本来のノビルの味より苦いと感じ, 直後から嘔吐, 下痢などの症状をきたした. 採取した野草がタマスダレであることに気づき, 食材を持参して摂取後約1時間後に来院. 2名とも, 14時20分の来院時に嘔気は持続していたが, 全身状態は安定していた. 日本中毒情報センターに問い合わせ, 原因はタマスダレに含まれる植物アルカロイドのリコリン摂取によるものであると考えらえた. 特定の治療法はなく, 末梢点滴を確保して経過観察を行ったところ, 摂取後4時間余りで症状は消失し, 17時に帰宅. 管轄の保健所にも届け出を行った. 稀な有毒植物による食中毒症例として報告する.
ISSN:0559-829X