複数回の手術により長期生存を得た後腹膜脱分化型脂肪肉腫の1例

「要旨」61歳女性. 左後腹膜を主座とし左腎上極と膵・脾に接する後腹膜腫瘍およびStage II横行結腸癌に対し, 左腎・左副腎・脾合併膵体尾部切除 + 結腸亜全摘術を行った. 術後病理で, 後腹膜腫瘍は脱分化型脂肪肉腫であった. 術後3ヶ月目のCT検査で, 腫瘍摘出部背側に8cm大の脂肪織濃度域を認めたが, その後6年間変化なく経過した. 術後7年目のCT検査にて, 同腫瘍内に充実成分の出現と腫瘍の急速な増大を認めたため, 腫瘍切除術を行った. その後, 短期間で局所再発を繰り返すようになり, 3回の腫瘍切除を追加したが, 次第に局所制御不能となり, 初回手術後10年10ヶ月で永眠された....

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Veröffentlicht in:島根医学 2023-04, Vol.43 (1), p.77-82
Hauptverfasser: 高井清江, 山本徹, 谷浦隆仁, 石飛一成, 田島義証
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」61歳女性. 左後腹膜を主座とし左腎上極と膵・脾に接する後腹膜腫瘍およびStage II横行結腸癌に対し, 左腎・左副腎・脾合併膵体尾部切除 + 結腸亜全摘術を行った. 術後病理で, 後腹膜腫瘍は脱分化型脂肪肉腫であった. 術後3ヶ月目のCT検査で, 腫瘍摘出部背側に8cm大の脂肪織濃度域を認めたが, その後6年間変化なく経過した. 術後7年目のCT検査にて, 同腫瘍内に充実成分の出現と腫瘍の急速な増大を認めたため, 腫瘍切除術を行った. その後, 短期間で局所再発を繰り返すようになり, 3回の腫瘍切除を追加したが, 次第に局所制御不能となり, 初回手術後10年10ヶ月で永眠された. 後腹膜脂肪肉腫は高率な局所再発に加えて組織学的悪性転化を来す予後不良な疾患である. 本症例は脂肪肉腫の中でも悪性度の高い脱分化型脂肪肉腫であったが, 初回の広範囲切除と再発時の積極的な腫瘍切除を施行したことで長期予後に繋がったと考えられた.
ISSN:0559-829X