胸腔鏡・腹腔鏡下手術にて治癒し得た特発性食道破裂の1例

「要旨」特発性食道破裂は食道内圧の急激な上昇により食道壁全層が穿孔する比較的稀な疾患であり, 治療が遅れると縦隔炎などの重篤な合併症を起こしうる. 胸腔鏡下・腹腔鏡下手術で一期的に穿孔部の縫合閉鎖と大網による被覆を行い良好な経過をたどった1例を経験した. 症例は63歳男性. 嘔吐後の胸部痛, 上腹部痛を主訴に救急搬送となった. 特発性食道破裂と診断し保存的加療を選択した. 翌日, 縦隔炎, 縦隔気腫の増悪を認め緊急手術を施行した. 右半側臥位にて胸腔鏡下に穿孔部を縫合閉鎖, 続いて仰臥位にローテーションし腹腔鏡下に有茎大網を作製, 再度, 胸腔鏡下にて大網を被覆した. 術後経過は良好で術後12...

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Veröffentlicht in:島根医学 2016-09, Vol.36 (3), p.184-188
Hauptverfasser: 松原毅, 平原典幸, 高梨俊洋, 田島義証
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」特発性食道破裂は食道内圧の急激な上昇により食道壁全層が穿孔する比較的稀な疾患であり, 治療が遅れると縦隔炎などの重篤な合併症を起こしうる. 胸腔鏡下・腹腔鏡下手術で一期的に穿孔部の縫合閉鎖と大網による被覆を行い良好な経過をたどった1例を経験した. 症例は63歳男性. 嘔吐後の胸部痛, 上腹部痛を主訴に救急搬送となった. 特発性食道破裂と診断し保存的加療を選択した. 翌日, 縦隔炎, 縦隔気腫の増悪を認め緊急手術を施行した. 右半側臥位にて胸腔鏡下に穿孔部を縫合閉鎖, 続いて仰臥位にローテーションし腹腔鏡下に有茎大網を作製, 再度, 胸腔鏡下にて大網を被覆した. 術後経過は良好で術後12日目に退院となった. 特発性食道破裂に対する胸腔鏡・腹腔鏡下手術は鏡視下手術に熟練した施設では有用な術式と考える.
ISSN:0559-829X