悪性腫瘍に合併した腸腰筋膿瘍の2例
今回, 著者は悪性腫瘍に合併した腸腰筋膿瘍の2例を経験した. 症例1は72歳男性で主訴は腰痛, 発熱にて来院しCTにて左腸腰筋膿瘍と診断し経皮的ドレナージ施行後軽快した. その後本症例は進行胃癌が発見され胃全摘出術を施行した. 症例2は74歳男性で右坐骨神経痛, 発熱に来院しエコー, CTにて右腸腰筋膿瘍と診断した. 本症例に対して後腹膜アプローチにて膿瘍ドレナージを施行, また本症例は同時性重複癌(結腸癌, 胃癌)を合併しており, 状態安定後に右半結腸切除術, 幽門側胃切除術を施行した. 悪性腫瘍に合併した腸腰筋膿瘍報告例は本邦でも稀であり, 特に胃癌との合併例及び, 同時性重複癌との合併例...
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Veröffentlicht in: | 島根医学 2007-09, Vol.27 (3), p.243-246 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 今回, 著者は悪性腫瘍に合併した腸腰筋膿瘍の2例を経験した. 症例1は72歳男性で主訴は腰痛, 発熱にて来院しCTにて左腸腰筋膿瘍と診断し経皮的ドレナージ施行後軽快した. その後本症例は進行胃癌が発見され胃全摘出術を施行した. 症例2は74歳男性で右坐骨神経痛, 発熱に来院しエコー, CTにて右腸腰筋膿瘍と診断した. 本症例に対して後腹膜アプローチにて膿瘍ドレナージを施行, また本症例は同時性重複癌(結腸癌, 胃癌)を合併しており, 状態安定後に右半結腸切除術, 幽門側胃切除術を施行した. 悪性腫瘍に合併した腸腰筋膿瘍報告例は本邦でも稀であり, 特に胃癌との合併例及び, 同時性重複癌との合併例の報告は文献上皆無である. 悪性疾患に合併した腸腰筋膿瘍の発症機序については免疫能低下に伴う易感染性, また癌腫の腸腰筋への直接浸潤が考えられた. はじめに 腸腰筋膿瘍は抗菌剤の発達した今日では比較的稀な疾患となっている. しかし本疾患は診断治療が遅れれば重症化し易く, 治療に難渋するのみならず致命的となることも少なくない. 一方, 続発性腸腰筋膿瘍の原因としては近接臓器の炎症波及例が多く, 消化器疾患, 脊椎炎, 腎盂腎炎などが挙げられる. しかしながら今回のように胃癌との合併例, あるいは同時性重複癌を併発した腸腰筋膿瘍は極めて稀である. 今回, 著者は胃癌を合併した, また胃癌, 結腸癌同時性重複癌を合併した腸腰筋膿瘍の2例を経験したので文献的考察を加え報告する. |
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ISSN: | 0559-829X |