1. 抗菌薬適正使用の推進に向けたICT薬剤師の介入による取り組み

【目的】抗菌薬の適正使用を推進することはInfection Control Team(ICT)薬剤師の重要な役割の一つである. 不適切な抗菌薬使用は, 院内感染の要因となり, 病院経営にも悪影響を及ぼす. また, 耐性菌の出現と蔓延化を防止するために, 抗菌薬の使用に際しては, 薬剤の選択とpharmacokinetics/pharmacodinamicsを考慮する必要がある. 当院では2004年に「抗菌薬の適正使用ガイドライン」を作成して抗菌薬の適切な使用を推進してきた. また, 2005年4月より抗MRSA薬のtherapeutic drug monitoring(TDM)実施の推進に,...

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Veröffentlicht in:島根医学 2007, Vol.27 (2), p.150-151
Hauptverfasser: 西村信弘, 石原慎之, 玉木宏樹, 直良浩司, 岩本喜久生, 森木省治, 稲垣文子, 熊倉俊一, 礒部威, 山口清次
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】抗菌薬の適正使用を推進することはInfection Control Team(ICT)薬剤師の重要な役割の一つである. 不適切な抗菌薬使用は, 院内感染の要因となり, 病院経営にも悪影響を及ぼす. また, 耐性菌の出現と蔓延化を防止するために, 抗菌薬の使用に際しては, 薬剤の選択とpharmacokinetics/pharmacodinamicsを考慮する必要がある. 当院では2004年に「抗菌薬の適正使用ガイドライン」を作成して抗菌薬の適切な使用を推進してきた. また, 2005年4月より抗MRSA薬のtherapeutic drug monitoring(TDM)実施の推進に, 2006年9月からは, 抗菌薬長期投与のモニタリングに薬剤師が関わってきた. 今回, 当院における抗菌薬の使用状況を経時的に評価し, 適正使用に対するICT薬剤師の介入効果について検討し報告する. 【方法】(1)調査対象:当院入院中に注射用抗菌薬が投与された患者. (2)調査期間:2004年1月~2006年12月. (3)調査項目:抗菌薬使用量, 投与日数抗MRSA薬のTDM実施率, 長期投与状況. (4)介入方法:坑MRSA薬投与患者の血中濃度測定オーダ依頼およびTDM実施. 抗菌薬の長期投与(10日以上)モニタリング. (5)介入効果の評価:抗菌薬の使用量・投与日数等を介入前後で比較. 【結果・考察】調査期間における抗菌薬の年間使用量は, カルバペネム薬および第1, 第3, 第4世代セフェム系薬が多く, 合計で全体の70%近くを占あていた. その使用割合は, 第1世代セフェム薬以外は減少傾向がみられたものの, 広域抗菌薬の使用をコントロールする方策が必要であることが示唆された. そこで, 薬剤師による抗菌薬の長期投与モニタリングを開始した. 介入開始前後を比較した結果は以下の通りであった. (1)1週間以上の連続使用症例数が減少した. (2)1患者当たりの平均投与日数にも有意な減少が観察された. さらに, (3)前年同時期と比較した抗菌薬使用量は, カルバペネム薬, 第3・4世代セフェム薬で約25%, アミノグリコシド薬で約50%の減少が認められた. これらの結果は, 薬剤師の介入による長期投与モニタリングは投与日数・投与量の削減に効果があることを示唆した. また, (4)抗MRSA薬のTDM実施率は薬剤師の介入により明らかに増加し, (5)平均投与日数の減少も観察された. このことから, TDMに基づく適正な薬剤投与の有効性があったと推察される. 【結論】薬剤師による抗菌薬の長期投与モニタリングおよび抗MRSA薬のTDM推進は, 抗菌薬の適正使用を図る上で有用な手段であると考えられる.
ISSN:0559-829X