青年期対人不安の実証的研究の今後 : 対人恐怖と境界例の関連性をふまえて

I 問題提起 1.青年期の対人不安研究の流れ 1960年代後半から1970年代にかけて精神医学や臨床心理学の分野で注目された精神症状のひとつに, 対人恐怖症がある. 対人恐怖症とは, 対人関係の場で働く心理的な力に対して過敏さや緊張を示す事態であり, 青年期に出現しやすく, 一般的には赤面恐怖・視線恐怖. 醜形恐怖などを総称して用いられる病名である. したがって, その病理の程度は, 分裂病から境界例あるいは健常者に近い神経症まで様々である. 小川ら(1974, 1979a, 1979b, 1980, 1981, 1982)は, 健常者でも青年期には対人恐怖的傾向が高まることや, 対人恐怖症に...

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Veröffentlicht in:性格心理学研究 1996/03/31, Vol.4(1), pp.38-46
Hauptverfasser: 穂苅, 千恵, 福田, 周, 田中, 康裕
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:I 問題提起 1.青年期の対人不安研究の流れ 1960年代後半から1970年代にかけて精神医学や臨床心理学の分野で注目された精神症状のひとつに, 対人恐怖症がある. 対人恐怖症とは, 対人関係の場で働く心理的な力に対して過敏さや緊張を示す事態であり, 青年期に出現しやすく, 一般的には赤面恐怖・視線恐怖. 醜形恐怖などを総称して用いられる病名である. したがって, その病理の程度は, 分裂病から境界例あるいは健常者に近い神経症まで様々である. 小川ら(1974, 1979a, 1979b, 1980, 1981, 1982)は, 健常者でも青年期には対人恐怖的傾向が高まることや, 対人恐怖症には日本人の対人関係様式が反映されているという当時の臨床的知見に着目し, 症者の語る悩みを素材として, 青年期の対人不安の実証的検討を試みている. ここでは, 収集した症者の悩みから, 彼ら独特の「否定的自己意識negative self-awareness」を表す質問項目が選定され,「対人不安質問票」とその改訂版「対人関係質問票」が作成された.
ISSN:1345-3629
2432-695X
DOI:10.2132/jjpjspp.4.1_38