膵癌における浸潤性を制御するInterleukin-32およびその他の分子の関連性

[はじめに]膵癌は他の悪性腫瘍に比べ, 最も予後不良な腫瘍の代表として認知されている. 膵癌の多数を占めるのが膵管上皮由来とされる腺癌の一組織型の浸潤性膵管癌である. 多くの症例では腫瘍間質が線維性に富むという特徴を示している. また, 膵癌の腫瘍細胞は浸潤性に長けており, この硬い微小環境でさえも容易に浸潤する特性を示すことから, この易浸潤性が膵癌の悪性度を規定する一要因だとも考えられている. 我々の講座ではこれまでに, 浸潤性の高いヒト膵癌細胞株を樹立し, この浸潤性を制御する分子を追ってきた. その中でもサイトカインの1つである, Interleukin-32: IL-32の発現が亢進...

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Veröffentlicht in:TOYAMA MEDICAL JOURNAL 2023-03, Vol.34 (1), p.60-61
Hauptverfasser: 住吉紗代子, 井村穣二, 平林健一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[はじめに]膵癌は他の悪性腫瘍に比べ, 最も予後不良な腫瘍の代表として認知されている. 膵癌の多数を占めるのが膵管上皮由来とされる腺癌の一組織型の浸潤性膵管癌である. 多くの症例では腫瘍間質が線維性に富むという特徴を示している. また, 膵癌の腫瘍細胞は浸潤性に長けており, この硬い微小環境でさえも容易に浸潤する特性を示すことから, この易浸潤性が膵癌の悪性度を規定する一要因だとも考えられている. 我々の講座ではこれまでに, 浸潤性の高いヒト膵癌細胞株を樹立し, この浸潤性を制御する分子を追ってきた. その中でもサイトカインの1つである, Interleukin-32: IL-32の発現が亢進していることを明らかにした. また, ヒト膵癌細胞に対しIL-32の発現を調節することで, 腫瘍細胞の浸潤性が変化することを明らかにするだけでなく, IL-32により制御される下流の様々な分子も異なる挙動を示すことも見出してきた.
ISSN:2189-2466