8. 精神科病棟におけるNST活動とその問題点

[はじめに]昨今, 栄養管理の重要性に対する意識の高まりから, 院内での栄養管理方法の見直しや, 栄養サポートチーム(以下, NST)の設立, 稼働などが活発になってきており, 様々な観点から栄養管理の必要性が報告されている. しかし, 精神科領域においてはあまり栄養管理の重要性に関して論じられることが無く, NST活動の重要性なども一定の見解が得られていないのが現状である. そこで今回, 当院NSTにおける精神科病棟に対する活動を振り返り, その特徴や問題点に関して検討, 考察を行ったので報告する. [対象]2005年10月~2006年9月までに, 当院NSTにてスクリーニング対象症例となり...

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Veröffentlicht in:富山大学医学会誌 2006, Vol.17 (1), p.61-61
Hauptverfasser: 石井要, 中島和代, 帳山和美, 角谷直孝
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[はじめに]昨今, 栄養管理の重要性に対する意識の高まりから, 院内での栄養管理方法の見直しや, 栄養サポートチーム(以下, NST)の設立, 稼働などが活発になってきており, 様々な観点から栄養管理の必要性が報告されている. しかし, 精神科領域においてはあまり栄養管理の重要性に関して論じられることが無く, NST活動の重要性なども一定の見解が得られていないのが現状である. そこで今回, 当院NSTにおける精神科病棟に対する活動を振り返り, その特徴や問題点に関して検討, 考察を行ったので報告する. [対象]2005年10月~2006年9月までに, 当院NSTにてスクリーニング対象症例となり, その結果として介入を要した症例13例を対象とした. 男性7名, 女性6名で, 基礎疾患の内訳は, うつ病8名, 統合失調症2名, その他3名であった. [結果]NSTが介入となった理由は, 経管栄養管理の依頼が2名, 点滴管理を含めた栄養管理が4名, 食事に関する相談が6名であった. NST回診の回数は24回, 17回行った2名を除いては, 4回程度であり, 介入終了の転帰は, 退院(転院も含む)が9名であった. [まとめ, 考察]今回, 精神科病棟におけるNST活動に関して検討を行った. 入院患者は, 科の特性からか必ずしも採血検査などは行われていないことが多く, いわゆるスクリーニングから抽出される症例よりは, 主治医やリンクナースからの依頼症例がほとんどであり, その数も少数であった. しかし, 今年4月の栄養管理加算実施に伴い, 抽出症例は増加傾向にあった. うつ病による食欲低下に対しては, うつ病そのものに対する薬物療法が基本となり, 栄養療法を優先することが逆に病態を悪化させる可能性もあることを実感した. 今後は, 精神科病棟特有な栄養管理計画やNST活動の方法を再検討する必要があると思われた.
ISSN:1349-676X