坐骨神経および脊髄神経のタンパク質発現に基づくベンゾ[a]ピレン投与ラットに対するシナモンの効果

「はじめに」ダイオキシン類化合物による複合中毒であるカネミ油症事件は, 発生からおおよそ50年の年月が経過した現在においても様々な後遺症が多く報告されている. 特に, 一部の患者では末梢の感覚鈍麻やしびれ感, 自律神経失調症等の末梢神経障害および中枢神経障害等が報告されているが, その理由については不明な部分が多い. 油症の急性期には, 全身倦怠感, 食欲不振, 体重減少, 頭重感といった全身症状が見られることが報告されている. 特に全身倦怠感, 頭痛, 手足のしびれといった自覚症状は, 未だに50%の患者さんに認められ, これらの症状はダイオキシン類が末梢神経系に限らず中枢神経系にも何らかの...

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Veröffentlicht in:福岡医学雑誌 2023-03, Vol.114 (1), p.22-30
Hauptverfasser: 申敏哲, 行平崇, 小牧龍二, 福永貴之, 田中哲子, 吉村恵
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」ダイオキシン類化合物による複合中毒であるカネミ油症事件は, 発生からおおよそ50年の年月が経過した現在においても様々な後遺症が多く報告されている. 特に, 一部の患者では末梢の感覚鈍麻やしびれ感, 自律神経失調症等の末梢神経障害および中枢神経障害等が報告されているが, その理由については不明な部分が多い. 油症の急性期には, 全身倦怠感, 食欲不振, 体重減少, 頭重感といった全身症状が見られることが報告されている. 特に全身倦怠感, 頭痛, 手足のしびれといった自覚症状は, 未だに50%の患者さんに認められ, これらの症状はダイオキシン類が末梢神経系に限らず中枢神経系にも何らかの影響を与える可能性を示唆している. ダイオキシン類は, 芳香族炭化水素受容体(Arylhydrocarbon receptor, 以下AHR)を介してその毒性を発揮させることと様々な植物成分や生薬がAHRの活性を抑制させることがUchiらにより報告されている.
ISSN:0016-254X