β細胞の供給源と増殖について

「はじめに」近年, 生活習慣病の一つである2型糖尿病の患者人口が急増し, 合併症の進行と併発やそれに伴う医療費の高騰, QOLの低下が深刻な問題となっている. 特に糖尿病性腎症が重症化すると透析が必要になり, これが医療費を一気に押し上げ1)2), QOLを急低下させる3)など, 健康面, 経済面, 精神面, どの点においてもダメージは大きい. 最近の研究で, 一旦糖尿病を発症し罹病期間が長期化するほど, β細胞数は減少することが分かってきた(図1参照)4)~6). また, 元来, 日本人はβ細胞を増やす能力やその機能を高めるような能力が欧米人に比べて少なく, 糖尿病になりやすいといわれている...

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Veröffentlicht in:福岡医学雑誌 2012-12, Vol.103 (12), p.233-240
1. Verfasser: 稲田明理
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」近年, 生活習慣病の一つである2型糖尿病の患者人口が急増し, 合併症の進行と併発やそれに伴う医療費の高騰, QOLの低下が深刻な問題となっている. 特に糖尿病性腎症が重症化すると透析が必要になり, これが医療費を一気に押し上げ1)2), QOLを急低下させる3)など, 健康面, 経済面, 精神面, どの点においてもダメージは大きい. 最近の研究で, 一旦糖尿病を発症し罹病期間が長期化するほど, β細胞数は減少することが分かってきた(図1参照)4)~6). また, 元来, 日本人はβ細胞を増やす能力やその機能を高めるような能力が欧米人に比べて少なく, 糖尿病になりやすいといわれている7)8). したがって, β細胞の保護や機能低下, 細胞量の低下を防ぎβ細胞を新生・増加させることが, 根本的な治療へとつながると考えられる. しかし, これまで糖尿病に使用されている治療薬をみると, 残存している数少ないβ細胞から強制的にインスリンを分泌させかえって疲弊させたり, β細胞の保護や増殖作用が乏しいものが多かった.
ISSN:0016-254X