妊娠高血圧症候群の病態形成における絨毛細胞分化の役割とその調節メカニズム
「はじめに」妊娠高血圧症候群(Pregnancy induced Hypertension, PIH)は妊娠20週以降の高血圧, タンパク尿を主張とする症候群である. 現在でも依然, 母児の周産期罹病の主因であること, 様々な疫学的事実から本症は妊娠成立機構の根幹でもある母体の免疫学的寛容の破綻に端を発していること, からその病態については, 「学説の病気」といわれるまでにさまざまな研究が行われてきたが, 一定の見解はえられていなかった. しかし近年, これまで断片的に検討されてきた様々な事象が整理され, 関連づけられるようになってきた. 本稿では, PIHの病態形成についての最近の知見につい...
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Veröffentlicht in: | 福岡医学雑誌 2011-07, Vol.102 (7), p.223-228 |
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Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」妊娠高血圧症候群(Pregnancy induced Hypertension, PIH)は妊娠20週以降の高血圧, タンパク尿を主張とする症候群である. 現在でも依然, 母児の周産期罹病の主因であること, 様々な疫学的事実から本症は妊娠成立機構の根幹でもある母体の免疫学的寛容の破綻に端を発していること, からその病態については, 「学説の病気」といわれるまでにさまざまな研究が行われてきたが, 一定の見解はえられていなかった. しかし近年, これまで断片的に検討されてきた様々な事象が整理され, 関連づけられるようになってきた. 本稿では, PIHの病態形成についての最近の知見について, われわれのデータを中心に紹介する. 胎盤発生の過程で原始栄養膜細胞層は, 機能的にも形態的にも異なる2種類の細胞に分化していく1)2). ひとつはExtravillous trophoblast(EVT)で, この細胞は母体脱落膜から筋層へ浸潤し一部は母体のらせん動脈をはじめとする血管の内皮や壁を置換する. |
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ISSN: | 0016-254X |