樹状細胞を用いた抗腫瘍免疫療法―現状と将来

「はじめに」免疫学の起源は, 1796年Edward Jennerが天然痘に対する牛痘を用いたワクチン療法を開発したことに始まる1). その後, 19世紀後半にRobert Kochが微生物により感染症が惹起されることを証明し, 1880年代にLouis Pasteurが弱毒菌株を用いて狂犬病ワクチンを開発, 今日のジフテリア, 百日咳などの感染症に対する能動免疫療法(標的抗原に対する自己の免疫応答を惹起する免疫療法)の基盤となった2). また, 1888年, Rouxらによるジフテリアトキシンの発見, 1889-1890年, 北里柴三郎による破傷風菌の分離培養の成功, 破傷風菌産生外毒素の病...

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Veröffentlicht in:福岡医学雑誌 2007-07, Vol.98 (7), p.277-286
Hauptverfasser: 岡野慎士, 米満吉和, 居石克夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」免疫学の起源は, 1796年Edward Jennerが天然痘に対する牛痘を用いたワクチン療法を開発したことに始まる1). その後, 19世紀後半にRobert Kochが微生物により感染症が惹起されることを証明し, 1880年代にLouis Pasteurが弱毒菌株を用いて狂犬病ワクチンを開発, 今日のジフテリア, 百日咳などの感染症に対する能動免疫療法(標的抗原に対する自己の免疫応答を惹起する免疫療法)の基盤となった2). また, 1888年, Rouxらによるジフテリアトキシンの発見, 1889-1890年, 北里柴三郎による破傷風菌の分離培養の成功, 破傷風菌産生外毒素の病原性及び抗毒素血清の発見から, 1890年北里柴三郎とEmil von Behringらによって, 破傷風及びジフテリアトキシンに対する動物血清を用いた免疫療法の開発が行われ, 受動免疫療法(生体外で作成された免疫細胞や抗体などを生体に投与する免疫療法)の基盤が確立された2). この歴史的背景からも理解できるように, 免疫学及び免疫療法は感染免疫を基盤として発達した学問であるといえる.
ISSN:0016-254X