慢性疼痛発生メカニズムの新しい展望
「はじめに」痛みは生体の警告システムとしてまた防御システムとして重要な役割を果たしているが, 発生学的には免疫系が最初に確立され, 続いて神経系と内分泌系が発達してきたものと考えられる. 神経を介する痛覚系は最も迅速に警告を発し, また意識にのぼるシステムである. それ故, 知覚された刺激は組織侵害性が強く, 早期に対処する必要がある. 一般的に臨床の現場で訴えられる痛みは何らかの疾患に伴う症状の一つで, 病気が治癒すれば痛みも消退するのが普通である. そのため, たとえ患者が痛みを訴えてもその基となる病気を治すことに腐心し, 痛みそのものに対する治療は軽視される傾向は依然として存在するのが現...
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Veröffentlicht in: | 福岡医学雑誌 2006-06, Vol.97 (6), p.153-159 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「はじめに」痛みは生体の警告システムとしてまた防御システムとして重要な役割を果たしているが, 発生学的には免疫系が最初に確立され, 続いて神経系と内分泌系が発達してきたものと考えられる. 神経を介する痛覚系は最も迅速に警告を発し, また意識にのぼるシステムである. それ故, 知覚された刺激は組織侵害性が強く, 早期に対処する必要がある. 一般的に臨床の現場で訴えられる痛みは何らかの疾患に伴う症状の一つで, 病気が治癒すれば痛みも消退するのが普通である. そのため, たとえ患者が痛みを訴えてもその基となる病気を治すことに腐心し, 痛みそのものに対する治療は軽視される傾向は依然として存在するのが現状である. しかしながら, 癌性疼痛にみられるように, 痛みは最も強いストレスであり免疫系に対する抑制作用が強い. そのため痛みに対する適切な治療は免疫系の維持, それによる癌の進行の抑制に大きく関わっている. |
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ISSN: | 0016-254X |