手術支援ロボティックシステムの現況と今後の展開

「はじめに」1985年, Kwohら7)がスタンダードな工業用ロボットを脳外科領域の外科的処置に使用して以来, ロボティックシステムを外科手術の分野で応用すべく世界中でこの領域の開発研究が進んでいる. 特に戦場, 宇宙, 極地などにおける遠隔手術での有用性が期待されるだけにSataval10)は米国国防総省の研究助成を受け, 戦線遠隔手術システムの開発を手がけた. さらにわが国でもKobayashiら6)が腹腔鏡を支持する5節リンク式のマニピュレーターを開発している. 従来の外科手術には“術者自身の目で見ながら術者自身の手でしか手術を行えない”という限界があったため, 外科手術における大きな侵...

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Veröffentlicht in:福岡医学雑誌 2001-09, Vol.92 (9), p.315-318
Hauptverfasser: 江角元史郎, 富川盛雅, 橋爪誠, 小西晃造, 島田光生, 杉町圭蔵
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」1985年, Kwohら7)がスタンダードな工業用ロボットを脳外科領域の外科的処置に使用して以来, ロボティックシステムを外科手術の分野で応用すべく世界中でこの領域の開発研究が進んでいる. 特に戦場, 宇宙, 極地などにおける遠隔手術での有用性が期待されるだけにSataval10)は米国国防総省の研究助成を受け, 戦線遠隔手術システムの開発を手がけた. さらにわが国でもKobayashiら6)が腹腔鏡を支持する5節リンク式のマニピュレーターを開発している. 従来の外科手術には“術者自身の目で見ながら術者自身の手でしか手術を行えない”という限界があったため, 外科手術における大きな侵襲は避けられないものとされてきた. しかし最近では, 一般外科においても“患者に優しい”低侵襲外科手術, すなわち腹腔鏡下外科手術や胸腔鏡下外科手術の導入が著しく, 手術はすっかり様変わりしている. 視野・視覚の高機能化や, 精密操作を補助する装置が開発されれば, 従来の方法では困難であった手術を低侵襲かつ安全なものにできると考えられる. 以上より, 工学技術を最大限に応用した手術支援ロボティックシステムの必要性は一般外科の領域においても急速に高まってきていると言える. 本稿では代表的な手術支援ロボティックシステムの現況と今後の展開について概説する.
ISSN:0016-254X