HAM患者の脳脊髄液中の細胞におけるHTLV-I p40tax蛋白の検出-レーザスキャニングサイトメータを用いた脳神経疾患の病態の解明へのアプローチ
【目的】近年開発されたレーザスキャニングサイトメータ(LSC)は, スライドグラス上の細胞集団の蛍光量計測と顕微鏡観察が同時にできるという利点を有し, また, フローサイトメトリーでは比較的困難な少数の細胞の測定には最も適した機械である. HAM患者における脳脊髄液(CSF)中の細胞を用いて, 従来の方法では検出が困難だったHTLV-I p40tax蛋白の高感度な検出法を開発し, LSCでの定量的解析を行うことを目的とした. 【対象・方法】HAM7例, HTLV-Iキャリアー2例, 陰性者2例を対象とした. CSF中の細胞と末梢血単核球(PBMC)は免疫組織学的にp40taxに対する抗体Lt-...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 【目的】近年開発されたレーザスキャニングサイトメータ(LSC)は, スライドグラス上の細胞集団の蛍光量計測と顕微鏡観察が同時にできるという利点を有し, また, フローサイトメトリーでは比較的困難な少数の細胞の測定には最も適した機械である. HAM患者における脳脊髄液(CSF)中の細胞を用いて, 従来の方法では検出が困難だったHTLV-I p40tax蛋白の高感度な検出法を開発し, LSCでの定量的解析を行うことを目的とした. 【対象・方法】HAM7例, HTLV-Iキャリアー2例, 陰性者2例を対象とした. CSF中の細胞と末梢血単核球(PBMC)は免疫組織学的にp40taxに対する抗体Lt-4で反応後, HRP標識2次抗体, 更に直接蛍光標識されたTyramideで可視化された. 各標本はLSCを用いて陽性細胞数を定量した. 【結果】患者サンプルにおいてはHTLV-I p40taxはTyramideを用いた時のみ検出可能だった. HAM患者ではCSF中0.04~1.16%, PBMC中0.02~0.54%に陽性細胞を認めた. HAMおよびキャリアーの両者共にPBMC中よりCSF中のp40taxの発現が多かった. HAMでは病脳期間の短い例でCSF中で陽性細胞数が多い傾向であった. 【結論】HTLV-I p40tax蛋白の高感度な検出方法を開発し, 定量的解析がLSCを応用することで可能となった. この方法はHAMの病態機序を解明する上で大変有用と考えられる. また, 今後, 種々の神経疾患においても, 脳脊髄液細胞を用いた遺伝子DNAとその機能に関連する蛋白あるいはmRNAの, 単一細胞レベルでの定量的解析にも広く応用することが期待される. |
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ISSN: | 0016-254X |