油症患者の自他覚症状と血中PCB濃度 ―発生25年後の検診結果より

「はじめに」 油症発生(1968)以降年月の経過にともなって, 急性期の患者に認められた皮膚・眼症状などの典型症状は消褪し, 各種自覚症状が主体を占めるようになってきている. このような慢性期患者の症状を把握し, 患者の健康管理に資する目的で, 1986年より全国統一検診が行われている2). 著者らは発生20年後(1988)の全国統一検診結果を用いて, 一部に認める典型症状に加え, 軽視されがちな全身倦怠感, 頭重・頭痛などの自覚症状に関しても, なお今日血中PCBレベルと関連を示すことを報告した3). また急性期に著しい高値を示した血清中性脂肪は, 既に一般健常者のレベルと殆ど差異が無いにも...

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Veröffentlicht in:福岡医学雑誌 1997-05, Vol.88 (5), p.220-225
Hauptverfasser: 廣田良夫, 徳永章二, 片岡恭一郎, 篠原志郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」 油症発生(1968)以降年月の経過にともなって, 急性期の患者に認められた皮膚・眼症状などの典型症状は消褪し, 各種自覚症状が主体を占めるようになってきている. このような慢性期患者の症状を把握し, 患者の健康管理に資する目的で, 1986年より全国統一検診が行われている2). 著者らは発生20年後(1988)の全国統一検診結果を用いて, 一部に認める典型症状に加え, 軽視されがちな全身倦怠感, 頭重・頭痛などの自覚症状に関しても, なお今日血中PCBレベルと関連を示すことを報告した3). また急性期に著しい高値を示した血清中性脂肪は, 既に一般健常者のレベルと殆ど差異が無いにもかかわらず, 依然として血中PCB濃度と明らかな相関を示すことを報告した4). これらの検討に引き続き, 今般油症発生25年後(1993)の全国統一検診結果を用いて, 自他覚症状に関し頻度および血中PCB濃度との関連について解析を行ったので報告する.
ISSN:0016-254X