川崎病の子どもをもつ母親の10年間の心理的発達プロセス -母親自身の病気受容過程の視点から

比較的重度の川崎病の子どもをもつ母親を対象に行った面接調査をもとに, (1)発病後の母親の心理的プロセスと, (2)病気をもつ子どもの母親として機能することに有用であった要因について検討するとともに, 病気をもちながらも成長, 発達を遂げていく子どもに対する母親としての病気理解のさせ方やかかわりのあり様に関する検討を試みた. その結果, 母親の病気受容の心理的プロセスは, 原因不明のまま体調が良くないわが子に不安を持ち続けて戸惑う第I期, 川崎病と診断されて混乱し, どうしていいかわからず右往左往している第II期, 親の会との出会いにより親としての自分のあり方を見つめ直し, 意識変容した第II...

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Veröffentlicht in:看護学統合研究 2003-12, Vol.5 (1), p.40-50
Hauptverfasser: 片山美香, 松橋有子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:比較的重度の川崎病の子どもをもつ母親を対象に行った面接調査をもとに, (1)発病後の母親の心理的プロセスと, (2)病気をもつ子どもの母親として機能することに有用であった要因について検討するとともに, 病気をもちながらも成長, 発達を遂げていく子どもに対する母親としての病気理解のさせ方やかかわりのあり様に関する検討を試みた. その結果, 母親の病気受容の心理的プロセスは, 原因不明のまま体調が良くないわが子に不安を持ち続けて戸惑う第I期, 川崎病と診断されて混乱し, どうしていいかわからず右往左往している第II期, 親の会との出会いにより親としての自分のあり方を見つめ直し, 意識変容した第III期, 川崎病の子どもをもつ親として, 現在と未来を見据え, 子どもの成長, 発達に合わせて主体的に行動し始めた第IV期の4期に分けられた. とくに病名告知前後には, 母親の自我の強さ, 父親との関係性をとらえて支援することが重要であることが示唆された. また, 病気の理解は, 医療者とのかかわりのなかで深めるとともに, 親の会の活用も有効であった. まずは親自身が病気と積極的に向き合い, 主体的に行動することが, 患児自身の主体的な行動を導くことが示された. 医療者は, 患児およびその家族が発達していくプロセスを見守り, 適宜, 必要なサポートを察知し, 提供していく敏感さと行動力を養わなければならない.
ISSN:1346-0692