壮年期男性における口腔の自覚症状とメタボリックシンドロームのリスク因子との関連 ─後ろ向きコホート研究

歯科疾患や口腔の不健康とメタボリックシンドロームとの関連が,多くの疫学研究で報告されている.本研究では,壮年期男性における口腔の自覚症状とメタボリックシンドロームおよびそのリスク因子との関連を調べることを目的とした.歯科・医科健診データを用いて,4年間の後ろ向きコホート研究を行った.42歳時点で,メタボリックシンドロームがない者3,519人,肥満(高BMI)をもたない2,574人,高血圧症(高収縮期血圧かつ/または高拡張期血圧)をもたない者2,785人,脂質異常症(高中性脂肪かつ/または低HDLコレステロール)をもたない者2,879人,高血糖症(高空腹時血糖)をもたない者3,604人を解析対象...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:口腔衛生学会雑誌 2022, Vol.72(4), pp.241-250
Hauptverfasser: 清水, 都, 小島, 美樹, 井下, 英二, 真田, 依功子, 大森, 智栄, 倉田, 秀, 森崎, 市治郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯科疾患や口腔の不健康とメタボリックシンドロームとの関連が,多くの疫学研究で報告されている.本研究では,壮年期男性における口腔の自覚症状とメタボリックシンドロームおよびそのリスク因子との関連を調べることを目的とした.歯科・医科健診データを用いて,4年間の後ろ向きコホート研究を行った.42歳時点で,メタボリックシンドロームがない者3,519人,肥満(高BMI)をもたない2,574人,高血圧症(高収縮期血圧かつ/または高拡張期血圧)をもたない者2,785人,脂質異常症(高中性脂肪かつ/または低HDLコレステロール)をもたない者2,879人,高血糖症(高空腹時血糖)をもたない者3,604人を解析対象とした.これらの項目別に,46歳時点で各項目を有する者の割合を,42歳時点における口腔の自覚症状の有無で比較した.ロジスティック回帰モデルを用いて交絡要因を調整したオッズ比と95% 信頼区間を算出した.その結果,生活習慣調整モデルでは「う蝕あり」と「歯肉出血」は高血圧症と,「歯肉出血」と「歯肉腫脹・疼痛」は高血糖症と有意に関連していた.生活習慣に加えて全身状態を調整したモデルにおいても,「歯肉出血」と高血圧症,「歯肉腫脹・疼痛」と高血糖症との関連は有意であった.以上の結果より,壮年期男性において,特に歯周病に関係する症状の自覚が,メタボリックシンドロームのリスクとなる状態の発症と関連することが示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.72.4_241