介護施設利用高齢者における簡易嚥下状態評価票 (EAT-10) と口腔内環境, 口腔機能, 栄養状態との関連

概要:【目的】簡易嚥下状態評価票(EAT-10)と口腔内環境, 口腔機能および栄養状態との関連性を, 反復唾液嚥下テスト(RSST)との比較により明らかにすることを目的とした. 【対象および方法】介護施設利用高齢者90名(男性21名, 女性69名, 平均年齢86.0±7.2歳)を対象とした. 歯面清掃度などの口腔内環境因子, 開口度などの咀嚼機能の因子, 自覚症状の因子および簡易栄養状態評価(MNA-SF)を用いて, EAT-10およびRSSTによる嚥下機能リスク群と良好群で比較検討を行い, パス解析を行った. 【結果】EAT-10による嚥下機能リスク群では, 歯面清掃度, 開口度, 飲み込み...

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Veröffentlicht in:口腔衛生学会雑誌 2018-07, Vol.68 (3), p.128-136
Hauptverfasser: 秋山理加, 濱嵜朋子, 酒井理恵, 片岡正太, 角田聡子, 邵仁浩, 巴美樹, 粟野秀慈, 岩崎正則, 安細敏弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:概要:【目的】簡易嚥下状態評価票(EAT-10)と口腔内環境, 口腔機能および栄養状態との関連性を, 反復唾液嚥下テスト(RSST)との比較により明らかにすることを目的とした. 【対象および方法】介護施設利用高齢者90名(男性21名, 女性69名, 平均年齢86.0±7.2歳)を対象とした. 歯面清掃度などの口腔内環境因子, 開口度などの咀嚼機能の因子, 自覚症状の因子および簡易栄養状態評価(MNA-SF)を用いて, EAT-10およびRSSTによる嚥下機能リスク群と良好群で比較検討を行い, パス解析を行った. 【結果】EAT-10による嚥下機能リスク群では, 歯面清掃度, 開口度, 飲み込みにくさおよびむせの自覚症状との間に有意な関連がみられ, 一方, RSSTによる嚥下機能リスク群では, 開口度, 舌運動, 噛める食品数, 飲み込みにくさおよびむせの自覚症状, MNA-SFとの間に有意な関連がみられた. これらの因子を用いたパス解析の結果, EAT-10とRSSTとの間に弱い相関を認め, EAT-10からは歯面清掃度, 舌の汚れ, 飲み込みにくさおよびむせの自覚症状へのパスが示され, RSSTからは舌運動と噛める食品数, MNA-SFへのパスが示された. 【結論】EAT-10は主に口腔内環境因子と自覚症状因子への影響が示されたのに対し, RSSTは主に咀嚼機能の因子と栄養状態の因子への影響が示された. EAT-10による嚥下スクリーニングはRSSTを用いた場合と相関するものの, その性質は大きく異なっていることがわかった.
ISSN:0023-2831