電子線マイクロアナライザを用いた象牙質の酸蝕深度評価の試み

この研究は電子線マイクロアナライザ(EPMA)を使用して,象牙質に対する酸蝕症の影響を定量的に評価するために行った.研磨した象牙質ブロックをpHの異なる3種類の酸性水溶液(グレープフルーツジュース,ワインビネガー,5%酢酸)にそれぞれ60,120または180分間浸漬後,フッ化物非含有歯磨剤のスラリーまたは水を滴下しながら音波ブラシの毛先を垂直に当て,1分間処理した.対照群は,音波ブラシによる処理を行わなかった.象牙質酸蝕面を白金コーティング後,EPMAで反射電子像を撮影したところ,酸蝕象牙質の表面を明瞭に確認できたため,縦断サンプルを作製し,画像解析により,象牙質消失の深さを計測した.この結果...

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Veröffentlicht in:口腔衛生学会雑誌 2014/04/30, Vol.64(3), pp.270-277
Hauptverfasser: 田村, 清美, 加藤, 一夫, 曽我, 雄也, 嶋崎, 義浩
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:この研究は電子線マイクロアナライザ(EPMA)を使用して,象牙質に対する酸蝕症の影響を定量的に評価するために行った.研磨した象牙質ブロックをpHの異なる3種類の酸性水溶液(グレープフルーツジュース,ワインビネガー,5%酢酸)にそれぞれ60,120または180分間浸漬後,フッ化物非含有歯磨剤のスラリーまたは水を滴下しながら音波ブラシの毛先を垂直に当て,1分間処理した.対照群は,音波ブラシによる処理を行わなかった.象牙質酸蝕面を白金コーティング後,EPMAで反射電子像を撮影したところ,酸蝕象牙質の表面を明瞭に確認できたため,縦断サンプルを作製し,画像解析により,象牙質消失の深さを計測した.この結果,pHが低く浸漬時間が長いほど,象牙質消失量が大きく,三元配置分散分析の結果から,溶液の種類と作用時間は,象牙質消失に有意に影響し,両者には交互作用が認められた.一方,ブラッシング条件は,象牙質消失に対して有意な影響を示さなかった.  本研究より,酸蝕による象牙質の消失量をEPMAを利用した酸蝕歯面の同定により評価する方法が有用であることが示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.64.3_270