日本国内における水道水中フッ化物イオン濃度と3歳児齲蝕有病者率の関係

フッ化物は,地中,水中,空気中,食品中などに含まれており,人は日常的にこれを体内に取り込んでいる.日本の水道水中にも自然にフッ化物が含まれているが,これまでその齲蝕予防効果が広い地域にわたって検証されたことはなかった.本研究では,日本の水道水中フッ化物イオン濃度と3歳児齲蝕有病状況の関連の検討を目的とした.本研究は,市町村ごとの平成12年度3歳児齲蝕有病者率および平成12年度水道統計の浄水のフッ化物イオン濃度のデータを用いた地域相関研究である.全3,252市町村のうち,水道水データの存在する1,861市町村のデータを解析に用いた(57.2%).重回帰分析により,市町村の歯科保健に関する指標を含...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:口腔衛生学会雑誌 2011/04/30, Vol.61(2), pp.209-214
Hauptverfasser: 相田, 潤, 晴佐久, 悟, 大石, 憲一, 大石, 恵美子, 田浦, 勝彦, 筒井, 昭仁, 黒瀬, 真由美, 境, 脩
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:フッ化物は,地中,水中,空気中,食品中などに含まれており,人は日常的にこれを体内に取り込んでいる.日本の水道水中にも自然にフッ化物が含まれているが,これまでその齲蝕予防効果が広い地域にわたって検証されたことはなかった.本研究では,日本の水道水中フッ化物イオン濃度と3歳児齲蝕有病状況の関連の検討を目的とした.本研究は,市町村ごとの平成12年度3歳児齲蝕有病者率および平成12年度水道統計の浄水のフッ化物イオン濃度のデータを用いた地域相関研究である.全3,252市町村のうち,水道水データの存在する1,861市町村のデータを解析に用いた(57.2%).重回帰分析により,市町村の歯科保健に関する指標を含む共変量を調整したうえで,3歳児齲蝕有病者率の経験的ベイズ推定値と水道水中のフッ化物イオン濃度の関連を検討した.水道水中のフッ化物イオン濃度が0.000-0.049mg/Lの地域の齲蝕有病者率は43.6%(SD=11.1)であり,濃度が0.400mg/L以上の地域では35.9%(SD=7.6)であった.重回帰分析により共変量を調整したうえで,水道水中のフッ化物イオン濃度が0.300-0.399mg/Lおよび0.400mg/L以上の地域では,0.000-0.049mg/Lの地域に比べて,それぞれ7.2%(p=0.005),7.3%(p=0.001)有意に齲蝕有病者率が低かった.水道水フロリデーションされていない日本においても,水道水中のフッ化物イオン濃度が高い場合に齲蝕予防効果が生じている可能性が示唆された.
ISSN:0023-2831
2189-7379
DOI:10.5834/jdh.61.2_209