地域歯科保健を一層推進するために
歯・口腔の健康づくりは, 全身の健康を保ち, 人々の生活の質向上を図るとともに, ひいては健康寿命の延伸に寄与する. そのためには生涯にわたる有効な歯科保健施策の実施が不可欠である. これまで各地域で歯科医師会や行政, 関係者がさまざまな取り組みを行い成果をあげてきたが, 一層の地域歯科保健の推進が求められている今日, 相互の連携と協働, 効果的な施策の選択と展開が最も重要と考えられる. 行政の得意とすることは, その持つ組織力と持続力にあると言える. 地域歯科保健を推進するための鍵は, 行政施策として採用できるか否かであると考えて良い. 行政は, 学会や歯科医師会等からの提言に基づき施策効果...
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Format: | Tagungsbericht |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 歯・口腔の健康づくりは, 全身の健康を保ち, 人々の生活の質向上を図るとともに, ひいては健康寿命の延伸に寄与する. そのためには生涯にわたる有効な歯科保健施策の実施が不可欠である. これまで各地域で歯科医師会や行政, 関係者がさまざまな取り組みを行い成果をあげてきたが, 一層の地域歯科保健の推進が求められている今日, 相互の連携と協働, 効果的な施策の選択と展開が最も重要と考えられる. 行政の得意とすることは, その持つ組織力と持続力にあると言える. 地域歯科保健を推進するための鍵は, 行政施策として採用できるか否かであると考えて良い. 行政は, 学会や歯科医師会等からの提言に基づき施策効果や優先順位等を総合的に判断し, 行政施策として実施することが可能であれば予算化・実行する. 県行政が自ら実施するものもあれば, 市町村や歯科医師会等に補助・委託実施することもある. 新潟県では, 平成20年6月県議会において全国初めての「新潟県歯科保健推進条例」が制定された. 条例とは, 地方自治の精神に基づき, 地方自治体が住民との対話・協調を通じて定めることのできる地方独自の政策を実現するための「地方の法律」である. 新潟県では, 全国に先駆けてフッ化物洗口の補助制度を設け, 子供たちのむし歯を半減させることを目標とした「むし歯半減10か年運動」を昭和56年度から県民運動として開始するなど, 関係者が一丸となって取り組み, 四半世紀を超える歯科保健対策をねばり強く進めてきた長い歴史が条例制定のベースにある. 本条例では, 歯科保健対策の第一義的な実施主体である市町村が市町村歯科保健計画を策定し, 歯・口腔の健康づくりを継続的, 効果的に推進することを謳っている. また県は, 歯・口腔の健康づくりに資する総合的な施策の策定と実施の責務を負い, 県歯科保健計画の策定を義務付けられている. さらに歯科保健対策は関係部署の協働実施が不可欠であることから, 知事部局と県教育委員会が連携して行う事業を具体的に明示していることも特徴である. すなわち, 情報の収集や提供, 市町村・市町村教育委員会および関係者が行うフッ化物応用等のむし歯予防対策の効果的推進, 母子保健や学校保健, 障害者や介護を必要とする者, 高齢者まで生涯を通じた歯科保健対策の推進, マンパワーの確保と資質の向上, 調査研究の推進, 県民歯科疾患実態調査の実施, 保健所の役割の明確化などである. 地域歯科保健の一層の推進のために必要な関係者の連携・協働のあり方と施策の方向性について触れてみたい. |
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ISSN: | 0023-2831 |