自由集会3「歯科保健医療における禁煙指導・支援を考える―歯科禁煙指導による経済影響」
代表責任者:埴岡隆 参加者:21名 禁煙希望者の受け入れ体制が確立し禁煙希望者を増やすしくみづくりが進み始めている. 歯科職種は, たばこ対策の重要な資源として認識されており, 健康日本21歯科保健のたばこ対策を発展させ, たばこ政策の戦略基盤として, 歯科の資源が他領域の資源と連携して本格的に活用される時期が到来した. たばこ政策に口腔衛生学会が果たした役割は大きく, 今後も学術的見地から政策提言等の働きかけは非常に重要である. そこで, 今年度から日本口腔衛生学会禁煙推進委員会が中心となり自由集会を開催し, 初年度の本年は歯科の禁煙指導の経済面からの学術的意義を考えることとした. 喫煙によ...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 口腔衛生学会雑誌 2010, Vol.60 (1), p.59-60 |
---|---|
1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 代表責任者:埴岡隆 参加者:21名 禁煙希望者の受け入れ体制が確立し禁煙希望者を増やすしくみづくりが進み始めている. 歯科職種は, たばこ対策の重要な資源として認識されており, 健康日本21歯科保健のたばこ対策を発展させ, たばこ政策の戦略基盤として, 歯科の資源が他領域の資源と連携して本格的に活用される時期が到来した. たばこ政策に口腔衛生学会が果たした役割は大きく, 今後も学術的見地から政策提言等の働きかけは非常に重要である. そこで, 今年度から日本口腔衛生学会禁煙推進委員会が中心となり自由集会を開催し, 初年度の本年は歯科の禁煙指導の経済面からの学術的意義を考えることとした. 喫煙による超過医療費はレセプトデータから推計する方法とオッズ比等喫煙リスクを用いて推計する方法があり一長一短がある. レセプトと健診の突合せデータから算出された喫煙者, 禁煙者, 非喫煙者の歯科医療費は22,291円, 20,354円, 19,624円であり, 喫煙者が禁煙者, 非喫煙者より有意に高かった(井手玲子, 産業医科大学産業生態科学研究所). これらの算出金額と歯科受診喫煙者数から算出した単年度の喫煙による歯科の超過医療費は664億円と推計された(埴岡隆, 福岡歯科大学口腔保健学講座). 一方, オッズ比を用いた喫煙による超過医療費は, 歯周疾患では1,720億円, 欠損補綴に係る超過医療費は770億円と推計された(平田幸夫, 神奈川歯科大学社会歯科学講座, 青山旬, 栃木県立衛生福祉大学校歯科技術学部). 両者に開きがあるのは推計過程の要因の影響と思われる. これらは単年度の超過医療費であり, 実際には歯科の禁煙介入による医療費の累積削減効果を検討する必要がある(小島美樹, 大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学教室). 新政権でのたばこ価格上昇の議論のため, 特に経済影響の限られた討論を企画し, このため, 参加人数も多くはなかった. しかし, たばこ価格上昇分に歯科の超過医療費負担が含まれることが確認され, これまでの実施事例を踏まえた歯科職種によるたばこ対策の実施基盤の確立をめざしてのシンポジウム開催の声があがった. |
---|---|
ISSN: | 0023-2831 |