7. 乳幼児歯科保健の新たな課題の提起―西胆振管内の幼児歯科保健調査から―第四報:フッ化物塗布を伴う歯科保健事業の効果と今後について

前報において, 今後もう蝕減少傾向を継続するには1歳前後からのかかわりと1・6健以後の継続的支援が重要であることを指摘した. 多くの市町村では, この時期の幼児に対してフッ化物塗布を伴うう蝕予防事業(以下, 予防事業)を行っていることから, 受診状況や効果について報告するとともに, 今後の健診・予防事業のあり方や評価指標について検討した. 調査方法は第二報と同じであるが, 18年度の3健結果については予防事業の受診状況と有病率, 一人平均う歯数およびう歯率について分析した. 管内における予防事業の受診率は年々増加傾向にあり, 未受診は2割程度およそ5割の児が3健までに3回以上受診している. ま...

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Veröffentlicht in:口腔衛生学会雑誌 2008, Vol.58 (2), p.143-143
Hauptverfasser: 和田聖一, 野崎正恵, 荒田吉彦, 中山司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:前報において, 今後もう蝕減少傾向を継続するには1歳前後からのかかわりと1・6健以後の継続的支援が重要であることを指摘した. 多くの市町村では, この時期の幼児に対してフッ化物塗布を伴うう蝕予防事業(以下, 予防事業)を行っていることから, 受診状況や効果について報告するとともに, 今後の健診・予防事業のあり方や評価指標について検討した. 調査方法は第二報と同じであるが, 18年度の3健結果については予防事業の受診状況と有病率, 一人平均う歯数およびう歯率について分析した. 管内における予防事業の受診率は年々増加傾向にあり, 未受診は2割程度およそ5割の児が3健までに3回以上受診している. また, 受診回数が多いほど有病率は低下するものの独立検定では有意差はない. 従来, 幼児のう蝕指標として一人平均う歯数が広く用いられてきたが, この指標は萌出歯数が抜け落ちていることや近年の有病率減少により集団を代表する指標とは言えない状況にある. う歯率でみると受診回数別に有意の差がみられ, 特に, 未受診群と1回塗布群間に有意差がみられることから, 予防事業を受診することは確実にう蝕の軽症化に寄与していることが明らかとなった. また, フッ素洗口などの評価にも一人平均う歯数より, う歯率が集団の評価に適していると思われる. 予防事業はう歯を有する児が医療を受けられるようになるまでの口腔管理としても重要であり, 今後は, 歯科医療につながっていない未受診児を減らすとともに, 1・6健における適正なう蝕罹患型判定と以後の育児や咀嚼機能育成の支援対策として有効に活用されるべきである.
ISSN:0023-2831