開発途上国における保健医療システムマネージメント:ソフトコンポーネント支援への挑戦

一国の保健医療制度下において, 保健医療サービスの質, 受益者である国民への平等なアクセスを保障するためには, その経済性と合理性が必要である. 今日, 政府開発援助(ODA)は, ハード面だけではなく, 途上国保健医療制度やサービス供給の仕組みなど, いわゆる知的支援の取り組みにも, 人材育成のコーディネーターとして関与を深めるようになった. 保健医療分野は社会セクターの中核分野であり, 貧困削減の過程においては経済セクター, インフラ部門にも関連する共通課題である. 日本の保健医療分野ODAは, 過去30年以上にわたって保健医療インフラ, 人材開発, 技術移転に重点を置きながら, 多くのア...

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1. Verfasser: 半田祐二朗
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:一国の保健医療制度下において, 保健医療サービスの質, 受益者である国民への平等なアクセスを保障するためには, その経済性と合理性が必要である. 今日, 政府開発援助(ODA)は, ハード面だけではなく, 途上国保健医療制度やサービス供給の仕組みなど, いわゆる知的支援の取り組みにも, 人材育成のコーディネーターとして関与を深めるようになった. 保健医療分野は社会セクターの中核分野であり, 貧困削減の過程においては経済セクター, インフラ部門にも関連する共通課題である. 日本の保健医療分野ODAは, 過去30年以上にわたって保健医療インフラ, 人材開発, 技術移転に重点を置きながら, 多くのアジア, アフリカ諸国で事業を行ってきた. 今日では制度改善, 制度管理運営の向上がインフラ, 技術の導入などの前提条件であることに国際的理解が深まっている. 地球公共財(Global public goods)の概念は保健医療分野においても共通課題となっている. 一国, あるいは地域の保健医療のSystem managementもこの国際的潮流に強く影響され, また, この概念に沿って, 途上国としての主張を国際社会に対して行うことが求められている. さて, 口腔保健はだれのものか?歯科医療を支える重要な基本理念として口腔疾患予防, さらには健康増進の有力な導入点としての分野特性を生かすならば, 歯科医療者が中核をなすこの分野は途上国の健康問題解決という舞台においては決して脇役にとどまることはありえない. 口腔保健活動を開発途上国において感染症対策(含HIV/AIDS問題), 腸管寄生虫対策, 母子保健, 栄養改善, がんをはじめとした生活習慣病対策などとリンクした形で実施する, あるいは口腔保健が国レベルの健康増進活動をリードする役割を担うような体制を作るならば, 国際協力のメインストリームに乗ることについては十分な可能性があると考えられた.
ISSN:0023-2831