要介護高齢者に対する口腔ケアの果たす役割‐歯科衛生士による老人福祉施設における口腔ケアの効果

口腔ケアは健康的な歯科保健行動であるが, 障害などによりみずから実施できなくなれば, 必要な介護サービスである. しかしながら, 要介護者に対して十分提供されているとはいい難い. 口腔ケアに対する介護関係者の理解とともに, 口腔ケアの効果について提示する必要がある. 今回, われわれは, 岩手県内3ヵ所の福祉老人特別養護施設において, 方法と手順を規格化した口腔ケアを実施し, 歯科臨床検査によってカンジダ菌のコロニー数を計測し, 口腔ケアの効果を検討した. 併せて, 臨床検査が口腔ケアの評価方法として有効かを検討した. 対象者は, 各施設とも, 口腔ケア実施群各5名15名, 比較対照群各5名1...

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Hauptverfasser: 赤坂幾子, 高橋光恵, 晴山婦美子, 佐藤理恵, 狩野裕史, 佐藤保, 泉福英信
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:口腔ケアは健康的な歯科保健行動であるが, 障害などによりみずから実施できなくなれば, 必要な介護サービスである. しかしながら, 要介護者に対して十分提供されているとはいい難い. 口腔ケアに対する介護関係者の理解とともに, 口腔ケアの効果について提示する必要がある. 今回, われわれは, 岩手県内3ヵ所の福祉老人特別養護施設において, 方法と手順を規格化した口腔ケアを実施し, 歯科臨床検査によってカンジダ菌のコロニー数を計測し, 口腔ケアの効果を検討した. 併せて, 臨床検査が口腔ケアの評価方法として有効かを検討した. 対象者は, 各施設とも, 口腔ケア実施群各5名15名, 比較対照群各5名15名に協力を依頼し, 書面にて了解を得た. 説明にあたっては, 国立感染症研究所に設置された本調査倫理委員会にて承認された内容と方法で実施した. 調査にあたり, 病歴などの問診, 服薬状況, 歯科検診, 寝たきり度の判定を事前に行った. ケア実施群におけるケアの方法は, スポンジブラシ, 通常の歯ブラシ, 吸引装置付歯ブラシ(E-ブラシ), 洗口の手順で約5分間のうちに終了することとした. これを1週間に1回, 3ヵ月間実施し, ケア前, 1ヵ月後, 3ヵ月後に細菌検査を行った. その結果, ケア群では, 1ヵ月後カンジダのコロニーは増加するものの, 3ヵ月後には有意に減少した. 比較対照群は3ヵ月間変化がなかった. このことから, 口腔ケアは口腔内の菌の減少に効果があり, 3ヵ月程度継続することが必要である. また, 歯科臨床検査口腔ケアの評価方法として有効であると思われた.
ISSN:0023-2831