在宅療養者等における口腔ケアに関する調査

地域介護システムの中での口腔ケアの位置づけを明確にするため, 在宅療養者等の歯科に関する実態とニーズの把握ならびに介護者の口腔ケアに対する意識調査を実施した. 対象は, 訪問看護ステーションに登録されている在宅療養者70名(男性35名, 女性35名), 平均年齢79.7歳(43~97歳). 歯科疾患の実態調査は歯科衛生士が訪問看護ステーション職員に同行し実施した. 調査内容は, 日常生活(および動作)の自立度, 口腔内所見, 口腔清掃状況, 義歯の状況, 食物摂取形態状況等である. また, 口腔ケアに関する意識調査については在宅療者および介護者に対し, 歯磨き習慣, 歯科保健指導経験等を含む質...

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Hauptverfasser: 田口千恵子, 阿部早苗, 柴田咲子, 鈴木安子, 長谷川孝子, 沖田とき江, 田口円裕, 荒井幸子, 開沼哲男
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:地域介護システムの中での口腔ケアの位置づけを明確にするため, 在宅療養者等の歯科に関する実態とニーズの把握ならびに介護者の口腔ケアに対する意識調査を実施した. 対象は, 訪問看護ステーションに登録されている在宅療養者70名(男性35名, 女性35名), 平均年齢79.7歳(43~97歳). 歯科疾患の実態調査は歯科衛生士が訪問看護ステーション職員に同行し実施した. 調査内容は, 日常生活(および動作)の自立度, 口腔内所見, 口腔清掃状況, 義歯の状況, 食物摂取形態状況等である. また, 口腔ケアに関する意識調査については在宅療者および介護者に対し, 歯磨き習慣, 歯科保健指導経験等を含む質問紙法による自記式(一部聞き取り)調査で行った. その結果, 在宅療養者の口腔内所見では, 加齢とともに, 現在歯数は減少し, DMF歯数は増加傾向にあった. また, 歯磨き習慣が良好な者ほど現在歯数が多い傾向であり, かつ健全歯数も多く, 口腔内状況が良好であった. 介護者の口腔ケアに関する意識調査から, 多くの介護者が要介護者の口腔ケアに関心があり, かつ, その重要性を認識しているものの, 全身的なケアに手がかかり口腔ケアまで手が回らない現状が示唆された. 要介護者に対する口腔ケアの内容は, 歯磨き, 入れ歯の手入れがほとんどであった. 歯科治療の希望の有無については, 57.1%の人が治療を希望していないが, ほとんどの場合治療の必要性が認められた. 高齢者の生きがいでもあり, また最大の楽しみでもある「食べる」ことへの高齢者の強い望みを常に可能にしていくことを目標とした, 歯科口腔ケア, サービスの効果的かつ効率的な提供は, 介護システムにおける本質的な役割を担っているといえる. 本調査から, 要介護高齢者に対する口腔ケアの重要性が再認識され, 今後は, 医療との連携を含めた支援体制の整備と他職種との連携によるサービスの提供が重要であることが示唆された.
ISSN:0023-2831