2. “Streptococcus milleri”のラット実験心内膜炎の誘発能について

感染性心内膜炎は, 心内膜, 特に弁膜に病巣(疣贅)を有し, 多彩な臨床症状を呈する自然治癒傾向のない全身性感染症疾患である. 誘因は抜歯を含む歯科治療, 原因菌は, viridans streptococciが最も重要視されている. この菌群は健康な心臓は侵さず, 基礎に心疾患を有する者に発症しやすいことから, 我々歯科医師はその手術, 手技に際しては予防, すなわち抗生物質の投与が必要となる. こうしたviridans streptococciの一つである“Streptotoccus milleri”groupについて, ラットの心内膜炎実験系モデルを用いてその誘発能を調べた. “S.mi...

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Veröffentlicht in:口腔衛生学会雑誌 1997, Vol.47 (1), p.123-123
Hauptverfasser: 北田勝浩, 薬師寺毅, 井上昌一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:感染性心内膜炎は, 心内膜, 特に弁膜に病巣(疣贅)を有し, 多彩な臨床症状を呈する自然治癒傾向のない全身性感染症疾患である. 誘因は抜歯を含む歯科治療, 原因菌は, viridans streptococciが最も重要視されている. この菌群は健康な心臓は侵さず, 基礎に心疾患を有する者に発症しやすいことから, 我々歯科医師はその手術, 手技に際しては予防, すなわち抗生物質の投与が必要となる. こうしたviridans streptococciの一つである“Streptotoccus milleri”groupについて, ラットの心内膜炎実験系モデルを用いてその誘発能を調べた. “S.milleri”18株のうち, “S.intermedius”1株を除いて全ての菌株が“S.oralis”の1株と同様, 感染性疣贅を形成した. しかし, その能力には3菌種間で大きな違いがあった. S.anginosusが非常に強いのに対して, S.intermediusは弱く, S.constellatusが中程度であり, S.oralisが同等の能力を有していた. 対照群であるカテーテル挿入のみのラットの一部には非感染性の疣贅の形成が認められたが, 菌体接種のみのラットには全く疵贅の形成は認められなかった. “S.milleri”の菌種間の能力の違いが何に起因するのか不明であるが, 病因に関連する現象として菌体外多糖合成能, fibronectin結合能, Iaminin結合能, および血小板凝集能などについて他のviridans streptococciでは研究が行われている. 今後は, 同様の検討が“S.milleri”についても必要と思われる.
ISSN:0023-2831