ニフェジピン療法を受けている患者の歯肉増殖有病状況についての予備的研究

「緒言」抗生物質テトラサイクリンによる歯の着色や, 抗けいれん剤フェニトインによる歯肉増殖のように, 口腔はその個体が曝された薬物, 化学物質に由来する異常を, 時に現す臓器である. 今日では国民の多くが治療あるいは健康管理の目的で日常的に歯科受診の機会を持っており, そのさい歯科医師が口腔に現れた各種化学物質に由来する異常所見をいち早く見い出せば, 中毒, 副作用の重症化を防ぐだけでなく, 時には新たに見い出した中毒, 副作用の情報によって.その原因物質の危険性が警告され, 中毒, 副作用の蔓延を未然に防止することにもある役割を果たすことになろう. 我々は, 東北大学歯学部附属病院予防歯科外...

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Veröffentlicht in:口腔衛生学会雑誌 1990, Vol.40 (1), p.53-59
Hauptverfasser: 岩倉政城, 渋谷芳郎, 安野陽子, 島田義弘
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」抗生物質テトラサイクリンによる歯の着色や, 抗けいれん剤フェニトインによる歯肉増殖のように, 口腔はその個体が曝された薬物, 化学物質に由来する異常を, 時に現す臓器である. 今日では国民の多くが治療あるいは健康管理の目的で日常的に歯科受診の機会を持っており, そのさい歯科医師が口腔に現れた各種化学物質に由来する異常所見をいち早く見い出せば, 中毒, 副作用の重症化を防ぐだけでなく, 時には新たに見い出した中毒, 副作用の情報によって.その原因物質の危険性が警告され, 中毒, 副作用の蔓延を未然に防止することにもある役割を果たすことになろう. 我々は, 東北大学歯学部附属病院予防歯科外来で, 1986年3月に冠血管拡張剤ニフェジピン服用者で高度の歯肉増殖をきたした一例を経験した. 本症例が服用していた薬物のうち, ニフェジピンを選んで服用を中止させたところ歯肉増殖が消失した治療経過から, この増殖がニフェジピンに由来するものと判断して報告した1).
ISSN:0023-2831