椎間板の免疫特権と腰痛との関係

腰痛とそれに関連する疾患群は社会的にもいまだ重要な位置を占める.その原因の一つとして,椎間板の変性に由来するものが考えられているが,病態など不明の部分も多い.椎間板には免疫特権が存在することが近年の研究により証明され,この免疫特権を能動的に維持する機構を担うものとして髄核にはFas ligandと呼ばれる膜表面蛋白が発現している.変性した椎間板においてはFas ligandの発現が減少していることが証明され,免疫特権と椎間板変性の関連が示唆された.また,椎間板ヘルニアとは免疫特権を有する髄核組織が宿主免疫に暴露された状態であるとも理解されうる.椎間板組織とマクロファージの共培養を行った実験では...

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Veröffentlicht in:日本腰痛学会雑誌 2008, Vol.14(1), pp.50-57
Hauptverfasser: 西田, 康太郎, 金山, 修一, 高田, 徹, 前野, 耕一郎, 黒坂, 昌弘, 土井田, 稔
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:腰痛とそれに関連する疾患群は社会的にもいまだ重要な位置を占める.その原因の一つとして,椎間板の変性に由来するものが考えられているが,病態など不明の部分も多い.椎間板には免疫特権が存在することが近年の研究により証明され,この免疫特権を能動的に維持する機構を担うものとして髄核にはFas ligandと呼ばれる膜表面蛋白が発現している.変性した椎間板においてはFas ligandの発現が減少していることが証明され,免疫特権と椎間板変性の関連が示唆された.また,椎間板ヘルニアとは免疫特権を有する髄核組織が宿主免疫に暴露された状態であるとも理解されうる.椎間板組織とマクロファージの共培養を行った実験では,疼痛発現物質であるIL-6の産生が共培養により刺激されることが証明され,椎間板ヘルニア発症の機序として髄核組織に対する宿主の免疫応答が関与していることが示唆された.以上の知見は椎間板の免疫特権と腰痛性疾患には密接な関連があることを示している.
ISSN:1345-9074
1882-1863
DOI:10.3753/yotsu.14.50