II-9 MRIにて腰椎硬膜内椎間板ヘルニアを観察可能であった1例

【はじめに】腰椎椎間板ヘルニアは, 報告が散見されるが稀な疾患である. われわれはその発症の前後をMRIにてとらえ得た1例を経験したので報告する. 【症例・経過】40歳男性. 5年前より腰痛, 右下肢痛出現. 他院にて腰椎椎間板ヘルニアを指摘された. 症状の緩解増悪を繰り返していた. 本年5月症状増悪. 他院MRIにてL4/5, L5/Sに椎間板ヘルニアを認めた. 7月22日自転車乗車中に諸症状が著しく増悪, 以降尿閉となり当院救急外来初診. 初診時両下肢痛およびL5以下の不全対麻痺を認め, 肛門周囲知覚脱失し, 尿意なく導尿にて900mlの残尿を認めた. 翌日のMRIにてL4/5, L5/S...

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Veröffentlicht in:日本腰痛学会雑誌 2003, Vol.9 (1), p.193-193
Hauptverfasser: 島谷雅之, 小森博達, 波呂浩孝, 大川淳, 四宮謙一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:【はじめに】腰椎椎間板ヘルニアは, 報告が散見されるが稀な疾患である. われわれはその発症の前後をMRIにてとらえ得た1例を経験したので報告する. 【症例・経過】40歳男性. 5年前より腰痛, 右下肢痛出現. 他院にて腰椎椎間板ヘルニアを指摘された. 症状の緩解増悪を繰り返していた. 本年5月症状増悪. 他院MRIにてL4/5, L5/Sに椎間板ヘルニアを認めた. 7月22日自転車乗車中に諸症状が著しく増悪, 以降尿閉となり当院救急外来初診. 初診時両下肢痛およびL5以下の不全対麻痺を認め, 肛門周囲知覚脱失し, 尿意なく導尿にて900mlの残尿を認めた. 翌日のMRIにてL4/5, L5/Sに椎間板ヘルニアを確認したが, 患者持参の5月のMRIに比し, L4/5高位の突出はむしろ縮小していた. 一方L5椎体高位にはT2低輝度の巨大腫瘤の出現を認めた. 急性発症の馬尾症の診断にて緊急手術を施行した. L4, L5椎弓切除後L4/5, L5/S硬膜外ヘルニア腫瘤を摘出したが, L5椎体高位硬膜管は硬く触知され, さらに流出源不明の髄液の漏出を認めた. 同高位にて硬膜を切開すると馬尾を圧排する巨大な白色弾性腫瘤を認め同腫瘤を摘出した. 硬膜管内を検索するとL4/5高位腹側硬膜の縦断裂が確認された. 【考察】本症例では硬膜内ヘルニアの発症前後をMRIにてとらえ得た. われわれの渉猟し得た範囲では同様の報告は認めなかった. 発症前後MRI像の比較から, 本症例においては以前より存在した硬膜外ヘルニア腫瘤が硬膜を穿破し硬膜管内に嵌頓し馬尾症を発症したものと推察された. またL4/5高位において硬膜と後縦靭帯との明白な癒着は認められず, 硬膜に対するヘルニア腫瘤の直接的圧排から硬膜穿破が起こったと推察された.
ISSN:1345-9074