哺乳類の△-6脂肪酸不飽和化酵素:その遺伝子クローニングと生理学的意義

△-6脂肪酸不飽和化酵素は, 必須脂肪酸であるリノール酸及びα-リノレン酸を基質として, それらの炭素鎖の△-6位に二重結合を導入することにより, それぞれγ-リノレン酸及びn-3オクタデカテトラエン酸を生成する反応に関与している. この反応は哺乳類, 特にヒトにおいては種々の生理活性を持つ高度不飽和脂肪酸の生合成における最初の, かつ律速段階として重要である. 実際, 本酵素活性の変動が多数の疾病に関連している可能性が報告されている. 最近になって, 動植物から相次いで本酵素の遺伝子が単離, 同定され, それらがシトクロムb5, との融合タンパクとして存在していることが示された. 本稿では脂...

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Veröffentlicht in:日本油化学会誌 2000, Vol.49 (1), p.3-82
Hauptverfasser: 秋庸裕, 小埜和久, 鈴木修
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:△-6脂肪酸不飽和化酵素は, 必須脂肪酸であるリノール酸及びα-リノレン酸を基質として, それらの炭素鎖の△-6位に二重結合を導入することにより, それぞれγ-リノレン酸及びn-3オクタデカテトラエン酸を生成する反応に関与している. この反応は哺乳類, 特にヒトにおいては種々の生理活性を持つ高度不飽和脂肪酸の生合成における最初の, かつ律速段階として重要である. 実際, 本酵素活性の変動が多数の疾病に関連している可能性が報告されている. 最近になって, 動植物から相次いで本酵素の遺伝子が単離, 同定され, それらがシトクロムb5, との融合タンパクとして存在していることが示された. 本稿では脂質, 脂肪酸の代謝に関連した△-6不飽和化酵素の機能と生理的役割を解説し, 遺伝子クローニングによる新たな知見を加えて今後の展望を述べる.
ISSN:1341-8327