帝王切開術後に発症したMycoplasma hominisによる骨盤内膿瘍の1例

「要旨」帝王切開術後にMycoplasma hominisによる骨盤内膿瘍を認めた1例を経験した. 症例は, 30代, 女性で妊娠40週6日に陣痛発来のため前医を受診. 38℃台の発熱を認め, 炎症マーカーが高値を示したため当院に紹介となり, 絨毛膜羊膜炎と診断され帝王切開術が施行された. 術後, βラクタム系薬が投与されたが骨盤内膿瘍形成に至った. 子宮内容物と骨盤内膿瘍組織が提出され, グラム染色では菌体は認めなかったが, 嫌気培養3日目にグラム不染性の小コロニーの形成を認めた. また, 質量分析装置を用いた同定検査で同定不能であった. これらの成績から, M. hominisを疑い, 遺...

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Veröffentlicht in:日赤検査 2018-03, Vol.51 (1), p.60-63
Hauptverfasser: 長谷部淳, 西山政孝, 谷松智子, 高橋諭
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」帝王切開術後にMycoplasma hominisによる骨盤内膿瘍を認めた1例を経験した. 症例は, 30代, 女性で妊娠40週6日に陣痛発来のため前医を受診. 38℃台の発熱を認め, 炎症マーカーが高値を示したため当院に紹介となり, 絨毛膜羊膜炎と診断され帝王切開術が施行された. 術後, βラクタム系薬が投与されたが骨盤内膿瘍形成に至った. 子宮内容物と骨盤内膿瘍組織が提出され, グラム染色では菌体は認めなかったが, 嫌気培養3日目にグラム不染性の小コロニーの形成を認めた. また, 質量分析装置を用いた同定検査で同定不能であった. これらの成績から, M. hominisを疑い, 遺伝子学的検査を国立感染症研究所に依頼したところ, M. hominisと同定された. 以上より, 帝王切開術後の感染症でβ-ラクタム系薬の投与により軽快しない例では, M. hominisを念頭に置いて検査を進める必要がある.
ISSN:1343-2311