細胞像を観察しえた乳頭部汗管腺腫の1例
「要旨」術前の穿刺吸引細胞診(ABC)で線維腺腫を疑ったが, 術後病理組織診断で乳頭部汗管腺腫(syringomatous adenoma of the nipple)であった1例を報告する. 症例は76歳, 女性. 右乳房A領域に陥没乳頭を伴う腫瘤を認め, ABCが施行された. ABCの細胞量は少なく, 背景はきれいであった. 二相性を示す辺縁の明瞭な重積性細胞集塊, N/C比大で核の大小不同, 核小体の目立つ重積性の軽い細胞集塊, 細胞質が豊富で扁平上皮化生を示す平面的細胞集塊が認められた. その他, 背景にわずかな線維芽細胞様細胞が散見され, ライトグリーン淡染, 部分的にエオジン好性を...
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Veröffentlicht in: | 日赤検査 2008, Vol.41 (1), p.20-25 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「要旨」術前の穿刺吸引細胞診(ABC)で線維腺腫を疑ったが, 術後病理組織診断で乳頭部汗管腺腫(syringomatous adenoma of the nipple)であった1例を報告する. 症例は76歳, 女性. 右乳房A領域に陥没乳頭を伴う腫瘤を認め, ABCが施行された. ABCの細胞量は少なく, 背景はきれいであった. 二相性を示す辺縁の明瞭な重積性細胞集塊, N/C比大で核の大小不同, 核小体の目立つ重積性の軽い細胞集塊, 細胞質が豊富で扁平上皮化生を示す平面的細胞集塊が認められた. その他, 背景にわずかな線維芽細胞様細胞が散見され, ライトグリーン淡染, 部分的にエオジン好性を示す角化様物質がみられた. ABCより本疾患を推定することは困難であったが, 扁平上皮化生細胞の出現や背景に認めた角化様物質の存在が特徴的所見と思われた. 「はじめに」通常, 乳腺乳頭部に発生する腫瘍としては, Paget病が有名であるが, びらんなどの表皮病変を伴わず腫瘤がみられる場合は乳頭部腺腫や浸潤性乳管癌などがまず鑑別として考えられる. |
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ISSN: | 1343-2311 |