T 細胞の疲弊とインターロイキン-15: 高齢者敗血症の新たな治療戦略

近年の劇的な集中治療医学の発展により臓器障害に関する諸問題は解決しつつあるものの,敗血症の発症率は高くその長期予後も低い.敗血症は世界中で急速に進行する超高齢社会とICU 患者の高齢化と密接に関係しており,21 世紀の集中治療医学の新たな問題点である.高齢者の敗血症患者では,インターロイキン2(IL-2)の産生障害・活性化障害・増殖障害などの「T 細胞の疲弊(T cell exhaustion)」に陥り,敗血症後の2 次感染の増加や亜急性期の死亡に関連している可能性がある.CD8+T 細胞やナチュラルキラー細胞の成長因子であるインターロイキン15(IL-15)は加齢や敗血症で疲弊したT細胞を再...

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Veröffentlicht in:外科と代謝・栄養 2017, Vol.51(1), pp.25-32
Hauptverfasser: 井上, 茂亮, 山元, 文晴, 渡邊, 伸央, 猪口, 貞樹
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:近年の劇的な集中治療医学の発展により臓器障害に関する諸問題は解決しつつあるものの,敗血症の発症率は高くその長期予後も低い.敗血症は世界中で急速に進行する超高齢社会とICU 患者の高齢化と密接に関係しており,21 世紀の集中治療医学の新たな問題点である.高齢者の敗血症患者では,インターロイキン2(IL-2)の産生障害・活性化障害・増殖障害などの「T 細胞の疲弊(T cell exhaustion)」に陥り,敗血症後の2 次感染の増加や亜急性期の死亡に関連している可能性がある.CD8+T 細胞やナチュラルキラー細胞の成長因子であるインターロイキン15(IL-15)は加齢や敗血症で疲弊したT細胞を再活性化し,高齢者敗血症の予後を改善しうる可能性がある.免疫機能が低下した高齢者を対象とした新規創薬に向けた基礎研究を力強く展開することが世界に先駆け超高齢化社会を迎えた本邦で重要である.
ISSN:0389-5564
2187-5154
DOI:10.11638/jssmn.51.1_25