術前にNSTサポートを要請された糖尿病性足壊疽部分切断術の一症例

糖尿病性足壊疽に対して, 下肢切断を余儀なくされた患者の栄養管理に携わる機会を得たためここに報告する. 症例は52歳男性2型糖尿病患者, BMI 21.6. インスリン自己注射にて治療中であったが, 糖尿病性足壊疽と敗血症にて緊急入院となった. 入院時のAlb値は1.4g/dlと著明に低値で, 術前の栄養状態改善のためにNST介入依頼があった. NSTとしてAlb値の改善までには通常長期間を有すること, 栄養状態が改善するまで手術を延期した場合, 全身状態の更なる悪化が懸念されたことより, 手術の早期施行を主治医に提案した. その後速やかに右下肢切断術が行われ, 術後は血糖値の上昇, もしくは...

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Hauptverfasser: 大阿久愛, 栗田裕美, 曽部知恵, 田中寛, 丸谷晶美, 森野英里子, 岸本美也子, 本田律子, 長濱誉佳, 吉澤篤人, 梶尾裕, 河内正治
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:糖尿病性足壊疽に対して, 下肢切断を余儀なくされた患者の栄養管理に携わる機会を得たためここに報告する. 症例は52歳男性2型糖尿病患者, BMI 21.6. インスリン自己注射にて治療中であったが, 糖尿病性足壊疽と敗血症にて緊急入院となった. 入院時のAlb値は1.4g/dlと著明に低値で, 術前の栄養状態改善のためにNST介入依頼があった. NSTとしてAlb値の改善までには通常長期間を有すること, 栄養状態が改善するまで手術を延期した場合, 全身状態の更なる悪化が懸念されたことより, 手術の早期施行を主治医に提案した. その後速やかに右下肢切断術が行われ, 術後は血糖値の上昇, もしくは逆に, 術後感染巣の除去による血糖値の低下に注意し, その都度インスリン注射の単位調整にて対応するという方針を提案した. その結果, 術後の経過も良好で, 約50日後のAlb値は2.9g/dlとなり, 他院転院となった. 術前の栄養管理と栄養状態の改善は術後の創部治癒に関係する重要なポイントであるが, 栄養の立ち上げにこだわりすぎると, 時として手術のタイミングを逃すこともあり, 手術施行時期の見極めもまた重要である. 今回NSTとして主治医と密に連絡をとり, 術前術後の栄養管理に適切な助言ができ, 患者の良好な術後経過に貢献できたものと考える. 今後も様々な疾患の栄養管理を検討していきたい.
ISSN:0389-5564