V-02 ヒメウズラ(Coturnix chinensis)における黒褐色羽装突然変異の遺伝様式ならびに候補遺伝子内変異との関連性

[目的]ヒメウズラ(Coturnix chinensis)はキジ科に属する最小の種であり, 早熟で繁殖性に優れるため鳥類実験モデルとしての活用が期待されている. 本研究では, 黒褐色羽装(以下DB)を示す変異個体を愛好家から導入し系統化を図るとともに, その遺伝様式ならびに候補遺伝子内変異と羽色との関連性を明らかにすることを目的とした. [材料および方法]導入したDB変異には, 黒褐色(以下D)とやや明るい黒褐色(以下L)を示す個体が混在していたことから, まず, 変異型同士の交配およびLと野生型との間で正逆交配を行った. 次に, メラノコルチン1レセプター遺伝子(MC1R)をDBの候補遺伝子...

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Veröffentlicht in:動物遺伝育種研究 2011, Vol.39 (2), p.147-147
Hauptverfasser: 木下圭司, 鬼塚慎一, 和田あづみ, 吉原千尋, 竹内栄, 豊後貴嗣, 都築政起
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:[目的]ヒメウズラ(Coturnix chinensis)はキジ科に属する最小の種であり, 早熟で繁殖性に優れるため鳥類実験モデルとしての活用が期待されている. 本研究では, 黒褐色羽装(以下DB)を示す変異個体を愛好家から導入し系統化を図るとともに, その遺伝様式ならびに候補遺伝子内変異と羽色との関連性を明らかにすることを目的とした. [材料および方法]導入したDB変異には, 黒褐色(以下D)とやや明るい黒褐色(以下L)を示す個体が混在していたことから, まず, 変異型同士の交配およびLと野生型との間で正逆交配を行った. 次に, メラノコルチン1レセプター遺伝子(MC1R)をDBの候補遺伝子と予測し, 野生型を含む計10羽の塩基配列を決定し比較した. [結果]L×LおよびD×Lから野生型と変異型(D+L)がそれぞれ37:133(1:3, 0.4>P>0.3), 0:48(0:1)で観察され, Lと野生型の正逆交配では野生型と変異型(Lのみ)がそれぞれ74:77(1:1, 0.9>P>0.8), 97:82(1:1, 0.3>P>0.2)の比で観察された. 従って, DB変異は, 常染色体性の単一優性遺伝子(遺伝子記号Dbを提唱)によって支配されているものと推察され, Dはホモ型, Lはヘテロ型と考えられた. 次に, MC1Rの塩基配列の比較から, DB羽装に特異的な2つの非同義的置換(c.271G>A, p.E91Kおよびc.872C>T, p.P291L)が検出された. これらの変異は表現型と完全に一致していた. そのE91K置換は, 他の哺乳類や鳥類においてメラニズムとの関連性が報告されている変異部位と同一であり, P291Lは, ヒトやクマで淡色化との関連性が報告されている変異部位に近接していた. 従って, MC1RがヒメウズラのDB変異の原因遺伝子であり, 上記2つのアミノ酸置換が黒褐色羽装を生じさせる原因であると考えられた.
ISSN:1345-9961