III-07 ブタSNPs解析システムの構築とその分子系統解析への応用
[目的]イノシシおよびブタの分子系統解析は主に特定遺伝子の塩基配列あるいはマイクロサテライトDNA多型を用いて行われてきた. ブタゲノム解読ともにSNPs情報も集積・報告され, ゲノムワイドかつ高精度な解析が可能となった. しかし, 多数の個体でSNPs検出を行うためには安価で信頼性の高い解析法が必要である. 本研究ではイノシシおよびブタの遺伝的類縁関係の解明のためにDigiTag2法によるSNPsの検出システムを構築した. [材料と方法]ランドレース, ラージホワイト, デュロック, バークシャーおよびメイシャンの5品種96頭を実験に供試した. DigiTag2の方法と解析は, Nishid...
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Veröffentlicht in: | 動物遺伝育種研究 2011, Vol.39 (2), p.141-141 |
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Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | [目的]イノシシおよびブタの分子系統解析は主に特定遺伝子の塩基配列あるいはマイクロサテライトDNA多型を用いて行われてきた. ブタゲノム解読ともにSNPs情報も集積・報告され, ゲノムワイドかつ高精度な解析が可能となった. しかし, 多数の個体でSNPs検出を行うためには安価で信頼性の高い解析法が必要である. 本研究ではイノシシおよびブタの遺伝的類縁関係の解明のためにDigiTag2法によるSNPsの検出システムを構築した. [材料と方法]ランドレース, ラージホワイト, デュロック, バークシャーおよびメイシャンの5品種96頭を実験に供試した. DigiTag2の方法と解析は, Nishidaら(2007)に従った. 解析SNPsは性染色体を除く18常染色体上に96個を配置した. 得られた遺伝子型のデータを近隣結合法(NJ)による分子系統解析を行った. [結果と考察]解析した96SNPsのうち82SNPsの遺伝子型が全ての個体で決定でき, その遺伝子型から以下のことが明らかとなった. 1)NJ系統樹では, 各々の品種が独立したクラスターを作った. ランドレース, ラージホワイト, デュロックおよびバークシャーの4品種は比較的近縁となり, 中国豚であるメイシャンはそれ以外の品種間の遺伝距離の約5倍離れて位置した. 2)マイナー対立遺伝子頻度(MAF)が20%以上のものが52.8%あり, MAFが5%以上のものは84.7%あった. 3)総合同値確率(P)は, 6.00×10-19であった. これより理論的には少なくとも1019頭のブタの識別が可能であると考えられた. FAOSTAT(2009)によると全世界のブタの飼養頭数は約9.4×108頭であることから, 本解析手法で全世界のブタの個体識別が理論的に可能であると考えられた. 今回開発したDigiTag2法によるブタSNPs検出システムは品種鑑別や個体識別にも有用であることが示唆された. 現在, 本方法を駆使し, 東南アジアおよび日本在来イノシシならびに在来豚を解析に加え, イノシシ属の分子系統解析を実施している. |
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ISSN: | 1345-9961 |