II-08 アユ冷水病耐性形質のマーカー選抜育種

【目的】アユPlecoglossus altivelisは内水面漁業において重要魚種であり, 種苗放流や養殖が各地で盛んに行われている. しかし1987年に冷水病がアユ種苗で初めて確認されて以来, 養殖場のみならず天然河川でも毎年被害が生じている. これまでの研究により, 冷水病耐性系統(Nagaiら, 2004)と感受性系統を用いた戻し交配家系(交配2)の連鎖解析の結果, 耐性形質に強く連鎖するMSマーカー(Lod score=8.80)を明らかにした(内山ら, 2007). 本研究では, この耐病性マーカーを用いて, 別の戻し交配家系(交配3)を解析し, 他家系での有効性を検討するとともに...

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Veröffentlicht in:動物遺伝育種研究 2007, Vol.35 (2), p.235-235
Hauptverfasser: 森本昌平, 内山祐, 永井崇裕, 村上啓士, 坂本崇
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:【目的】アユPlecoglossus altivelisは内水面漁業において重要魚種であり, 種苗放流や養殖が各地で盛んに行われている. しかし1987年に冷水病がアユ種苗で初めて確認されて以来, 養殖場のみならず天然河川でも毎年被害が生じている. これまでの研究により, 冷水病耐性系統(Nagaiら, 2004)と感受性系統を用いた戻し交配家系(交配2)の連鎖解析の結果, 耐性形質に強く連鎖するMSマーカー(Lod score=8.80)を明らかにした(内山ら, 2007). 本研究では, この耐病性マーカーを用いて, 別の戻し交配家系(交配3)を解析し, 他家系での有効性を検討するとともに, 2つの戻し交配家系(交配2と交配3)を用いてアユ冷水病耐性形質のマーカー選抜の可能性を検討した. 【方法】戻し交配家系(交配3)に注射感染試験を行い, 生残を耐性形質, 死亡を感受性形質として連鎖解析を行った. 解析には, これまでに耐性形質と関連性が明らかとなった1連鎖群4マーカー座を用いた. マーカー選抜家系作出は, 戻し交配家系から連鎖解析により得られた耐病性アレルを有する個体を選抜し交配した. マーカー選抜家系においても感染実験および連鎖解析を行った. 【結果】戻し交配系統(交配3)における連鎖解析の結果, Lod score=7.32となり耐病性マーカーの他家系での有効性が確認された. さらに交配2由来のマーカー選抜家系(C-1)ではLod score=4.62, 交配3由来のマーカー選抜家系(14-3)ではLod score=5.02となり, 耐病性マーカーの次世代での有効性が確認された. またマーカー選抜家系における感染実験の生残魚の多くの個体(23個体中21個体, 91.3%)は耐病性アレルをホモで保持していた. 今後, この耐病性マーカーを用いたマーカー選抜育種により, 冷水病に耐性を持つ系統を効率的に作出することができる可能性が示唆された.
ISSN:1345-9961