V-04 黒毛和種集団における種雄牛の遺伝子型判定の価値について
【目的】分子遺伝学の発達により, 経済的に重要な形質に関わる遺伝子が解明されつつあるので, その遺伝子情報を有効に利用できるような方法論が必要になってきている. その方法論のひとつとして考えられているgene flow法は, 種雄牛の遺伝子の後代への拡散を計算し, その種雄牛によってもたらされる価値を評価する手法である. 本研究では, gene flow法を改良し, 霜降りに関して種雄牛の遺伝子型情報が既知の場合の経済価値を評価することを目的とした. 【方法】本研究では, 脂肪交雑に関与する遺伝子は2対立の劣性遺伝子とし, 劣性ホモ型の遺伝子効果はBMSナンバーを1単位上昇させるものと仮定した...
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Veröffentlicht in: | 動物遺伝育種研究 2006, Vol.34 (2), p.132-132 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 【目的】分子遺伝学の発達により, 経済的に重要な形質に関わる遺伝子が解明されつつあるので, その遺伝子情報を有効に利用できるような方法論が必要になってきている. その方法論のひとつとして考えられているgene flow法は, 種雄牛の遺伝子の後代への拡散を計算し, その種雄牛によってもたらされる価値を評価する手法である. 本研究では, gene flow法を改良し, 霜降りに関して種雄牛の遺伝子型情報が既知の場合の経済価値を評価することを目的とした. 【方法】本研究では, 脂肪交雑に関与する遺伝子は2対立の劣性遺伝子とし, 劣性ホモ型の遺伝子効果はBMSナンバーを1単位上昇させるものと仮定した. 集団の構成は黒毛和種の集団を想定し, 雌雄共に9齢までとした. 種雄牛の更新は, 黒毛和種の集団構造と世代間隔より想定し, また雌牛の更新率は生存率を仮定して算出した. 計画年数は30年とし, その期間内での劣性ホモ型の累積割引発現量をHillのgene flow法を改良することにより計算した. さらに, 生存率, 割引率の値を変化させて累積割引発現量に対するこれらの影響を調べた. 種雄牛の遺伝子型が既知であることの経済価値は, 集団内で発現した劣性ホモ型遺伝子の累積割引発現量に経済的重み付け値を掛けることで算出し, 種雄牛を用いることで得られる利益は遺伝子型が判明していない種雄牛を用いた場合との比較により求めた. 【結果】劣性ホモ型, ヘテロ型の種雄牛に共通して, 集団の遺伝子頻度が高くなるほど, 劣性ホモ型遺伝子の累積割引発現量も大きくなった. また, 高い割引率および低い生存率は累積割引発現量の減少をもたらした. 劣性ホモ型の種雄牛を用いた場合, 集団の遺伝子頻度が0.5のときに利益は最大になった. ヘテロ型の種雄牛を用いた場合, 集団の遺伝子頻度が0.5以下なら利益が得られるが, 0.5以上なら逆に利益は負になった. |
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ISSN: | 1345-9961 |