III-03 ブータンにおけるスンクス野生集団の遺伝的変異性
スンクスは, 食虫目に属する小型の哺乳類動物で, アジアの熱帯, 亜熱帯地域に広く分布しており, 住家棲性で人の移動とともに生息域を広げていったと考えられている. 地域によって体の大きさ, 毛色, 染色体数が大きく異なるが, これらの違いに関わらず交配, 繁殖は可能であり一種Suncus murinusとして分類されている. アジアのスンクス野生集団の遺伝的変異性をmtDNAから調べたところ, 各地域集団は大きく大陸, 島嶼, マレー, ミャンマーの4つに分類され, 野生スンクスの移動経路について大陸, 海上経路という仮説が立てられた. しかし, これら4グループ間の関係はまだ明らかではなく,...
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Veröffentlicht in: | 動物遺伝育種研究 2005, Vol.33 (1/2), p.100-100 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | スンクスは, 食虫目に属する小型の哺乳類動物で, アジアの熱帯, 亜熱帯地域に広く分布しており, 住家棲性で人の移動とともに生息域を広げていったと考えられている. 地域によって体の大きさ, 毛色, 染色体数が大きく異なるが, これらの違いに関わらず交配, 繁殖は可能であり一種Suncus murinusとして分類されている. アジアのスンクス野生集団の遺伝的変異性をmtDNAから調べたところ, 各地域集団は大きく大陸, 島嶼, マレー, ミャンマーの4つに分類され, 野生スンクスの移動経路について大陸, 海上経路という仮説が立てられた. しかし, これら4グループ間の関係はまだ明らかではなく, 移動経路についても十分な検証はされていない. 今回新たにブータンにおいて野生スンクスの捕獲調査を行い, 他のアジアの集団と比較することにより, ブータンのスンクス野生集団のアジアにおける位置を明らかにすることを目的とし, ブータン4地域において捕獲した野生スンクス29個体についてmtDNAのRFLPs解析を行った. その結果, 新たに9種類のハプロタイプが検出され, その切断パターンは, 南アジアに位置するバングラデシュ, ネパールのものに近かった. さらに, インドとの国境に近いブータン南部では, 中央部のものと比べて変異性が高く, 最大1地域で5種類のハプロタイプが検出され, バングラデシュに次ぐ高い変異性であった. ブータン南部においては, インドからの行商人がブータン-インド間を毎日行き来していること, インドからの移住者が多いことなどから, ブータンのスンクスは, インドから北上してきたものである可能性が示唆された. |
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ISSN: | 1345-9961 |