III-06 イヌにおけるアンドロゲンレセプター遺伝子の多型

[目的] 我々は, イヌの行動に関与する遺伝子の探索を行っており, 現在までにドーパミンD4レセプター遺伝子の多型と行動との関連を報告している. アンドロゲンレセプター(AR)は, 雄性ホルモンの作用を仲介するリガンド依存性の転写因子である. 雄性ホルモンは胎生期の性分化に重要であり, 行動と関連する可能性もある. イヌでは現在までに, AR遺伝子内のグルタミンをコードする(CAG)n又は(CAA)nの反復数の多型が報告されているが, 品種毎の多様性や行動との関係については明らかとなっていない. そこで, 我々はイヌのARの対立遺伝子頻度分布を解析した. [方法] 各品種で雌雄各8頭以上となる...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:動物遺伝育種研究 2003, Vol.31 (1), p.54-54
Hauptverfasser: 前島雅美, 越村章子, 加藤正太, 奈良英利, 北川均, 岩崎利郎, 村山裕一, 伊藤愼一, 村山井上美穂
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:[目的] 我々は, イヌの行動に関与する遺伝子の探索を行っており, 現在までにドーパミンD4レセプター遺伝子の多型と行動との関連を報告している. アンドロゲンレセプター(AR)は, 雄性ホルモンの作用を仲介するリガンド依存性の転写因子である. 雄性ホルモンは胎生期の性分化に重要であり, 行動と関連する可能性もある. イヌでは現在までに, AR遺伝子内のグルタミンをコードする(CAG)n又は(CAA)nの反復数の多型が報告されているが, 品種毎の多様性や行動との関係については明らかとなっていない. そこで, 我々はイヌのARの対立遺伝子頻度分布を解析した. [方法] 各品種で雌雄各8頭以上となるように, 14品種342頭からDNAを抽出し, AR遺伝子エキソン1の2箇所のグルタミン反復領域(ARdog1, ARdog2)をPCR法で増幅した. 蛍光シークエンサーを用いてPCR産物の長さを調べ, 遺伝子型を判定した. 得られた対立遺伝子頻度から, Reynolds et al. (1983)の遺伝距離に基づく系統解析(NJ法)を行った. [結果] 型判定の結果, ARdog1ではグルタミン反復回数17, 18, 19回の3つの対立遺伝子, ARdo92では22, 23, 24, 25回の4つの対立遺伝子が検出された. 2箇所の反復領域は密に連鎖しており, 17-23, 17-25, 18-23, 18-24の4ハプロタイプが優勢であった. 品種それぞれの対立ハプロタイプ頻度分布には変異があり, ポメラニアン, 四国犬では17-23, シーズーでは17-25, ゴールデン・レトリーバー, ラブラドール・レトリーバー, 北海道犬では18-23, シベリアン・ハスキー, ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアでは18-24がそれぞれ高頻度であった. さらに今後, 品種・個体の行動特性評価値との関連についても解析する予定である.
ISSN:1345-9961