I-07 カニクイザルにおける染色体連鎖地図の作成

分類学上カニクイザルはヒトと近縁にあり, 有用なヒト疾患モデル動物として広く用いられているが, その染色体連鎖地図はまだ報告されていない. ヒトとカニクイザル染色体間の遺伝子の配置の比較から, ヒトに相同な遺伝子座を特定することが可能になり, 疾患原因遺伝子を迅速に解明することが期待される. 以上のことから, 本研究ではヒトマイクロサテライトマーカーを用いてヒトとカニクイザルの染色体連鎖地図の対応関係を明らかにすることを試みた. 本研究には各々単一の父親に由来する5家系175個体のカニクイザルDNAを用いた. ヒト第1, 第2, 第7, 第11, 第21染色体上のマイクロサテライトマーカーを...

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Veröffentlicht in:動物遺伝育種研究 2002, Vol.30 (1), p.58-58
Hauptverfasser: 藤田麻衣子, 藤井敦子, 古野亜紀, 鈴木通弘, 及川卓郎, 吉川泰弘, 国枝哲夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:分類学上カニクイザルはヒトと近縁にあり, 有用なヒト疾患モデル動物として広く用いられているが, その染色体連鎖地図はまだ報告されていない. ヒトとカニクイザル染色体間の遺伝子の配置の比較から, ヒトに相同な遺伝子座を特定することが可能になり, 疾患原因遺伝子を迅速に解明することが期待される. 以上のことから, 本研究ではヒトマイクロサテライトマーカーを用いてヒトとカニクイザルの染色体連鎖地図の対応関係を明らかにすることを試みた. 本研究には各々単一の父親に由来する5家系175個体のカニクイザルDNAを用いた. ヒト第1, 第2, 第7, 第11, 第21染色体上のマイクロサテライトマーカーをそれぞれ104組, 37組, 55組, 89組, 39組用いた. これらのプライマーを放射性同位元素でラベルした後, 数個体でPCR反応を行い, このうち多型があり, かつ父親がヘテロであったものについては全個体のDNAを用いて遺伝子型の判別を行った. その結果からそれぞれのヒト染色体に対応するカニクイザル染色体の連鎖地図を作成した. 使用したプライマーのうち第1染色体29組, 第2染色体16組, 第7染色体14組, 第11染色体33組, 第21染色体8組について遺伝子型の判別を行った. その結果, ヒト第1染色体の90cMの領域に対応する領域はカニクイザル第1染色体上に, ヒト第7染色体および第21染色体のそれぞれ141cM, 33cMの領域に対応する領域はカニクイザル第2染色体上に, ヒト第11染色体の105cMの領域に対応する領域はカニクイザル第11染色体上に存在していることが示唆された. また, ヒト第2染色体上のマーカーでカニクイザルでは連鎖が認められないものが存在し, ヒト第2染色体に対応する領域はカニクイザルでは2つに分かれた形であることが示唆された.
ISSN:1345-9961