III-06 ニホンカモシカ(Capricornis crispus)におけるアメロゲニン遺伝子Exon3の部分配列決定と性的二型性について

アメロゲニン遺伝子(AMEL)は, 歯のエナメル質タンパク質をコードする遺伝子で, X, Y性染色体上に存在するが, X染色体上およびY染色体上のAMEL配列は性的二型を示す. 従って, AMELを, 毛皮や浸漬標本, 糞等の性判別の指標として用い得ることが知られている. われわれは, 1998年に山形県で, 許可を得て捕殺されたニホンカモシカの血液, および, 毛皮から抽出したゲノムDNAについて, 浅野ら(1999)によって設計したプライマーセットを用いて, AMEL Exon3の部分配列をPCR増幅し, 塩基配列を決定した. その結果, この領域に, X染色体型とY染色体型の性的2型を示...

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Veröffentlicht in:動物遺伝育種研究 2001, Vol.29 (1), p.61-61
Hauptverfasser: 榎本友弥, 松原優, 上田愛, 小林隆志, 松山淳一, 土屋真人, 長谷川哲平, 紫野正雄, 小野寺政一, 勝見晟, 舘鄰
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:アメロゲニン遺伝子(AMEL)は, 歯のエナメル質タンパク質をコードする遺伝子で, X, Y性染色体上に存在するが, X染色体上およびY染色体上のAMEL配列は性的二型を示す. 従って, AMELを, 毛皮や浸漬標本, 糞等の性判別の指標として用い得ることが知られている. われわれは, 1998年に山形県で, 許可を得て捕殺されたニホンカモシカの血液, および, 毛皮から抽出したゲノムDNAについて, 浅野ら(1999)によって設計したプライマーセットを用いて, AMEL Exon3の部分配列をPCR増幅し, 塩基配列を決定した. その結果, この領域に, X染色体型とY染色体型の性的2型を示す領域が存在することを確認した. X染色体上AMELの相同性スコアは, ニホンカモシカとヤギとでは97.48%, ウシとでは95.15%であった. また, ニホンカモシカとヤギのX型AMEL配列において, ウシに比較して, それぞれ234bpと251bpの配列の欠失が認められた. 一方, Y染色体上AMELではニホンカモシカとヤギとでは83.03%, ウシとでは96.16%の相同性を示した. さらに, ヤギに比較して, ニホンカモシカとウシにおいて260bpから304bpの配列の欠失が認められた. 相同性スコアや配列の欠失の点から, ニホンカモシカのX上のAMELはヤギに近縁であるが, Y上のAMELはウシに近縁であると結論された. その生物学的意味は不明である.
ISSN:1345-9961